不眠の問題


以前神経症者と面接していて気が付いたのは、神経症者の多くが不眠に悩んでいることでした。
私自身も18歳の頃、不眠に苦しんでいたが、大学に入って毎日コンパコンパと飲み歩いてある日に気が付いたら不眠は治っていた。以来半世紀、不眠は過去のものになっていたのですが、年を重ねるにつれ、若いころの質の良い眠りは影を潜め、眠りには努力を必要とするようになっていた。夜中に頻繁にトイレに行くのも安眠を妨害しているのは間違いない。

少しでも楽に眠れるようにと、20年ほど前からメラトニンのサプリを飲んでいましたが、連用のためか最近はさっぱり効かない。お医者さんに頼んで薬を処方してもらって4年ほど飲んでいると、連用の弊害はここにも及び、もはや処方薬も用をなさなくなってしまった。

不眠は腰痛に勝るとも劣らない苦しみで、そのままでは人生が暗くなります。最後にたどり着いたのは、サプリも処方薬も薬と名の付くものは全てやめると言う今までやったことがない思い切った考えであった。

眠れなければ眠らなければよいと簡単に言いますが、一晩7時間もまんじりともしないで朝まで待つのは容易ではない。やっては挫折、やっては挫折を繰り返して、最後はもう薬には頼らない、どうしても眠れない時は次の日、昼寝で間に合わせると言う結論でした。
するとどうだろう。一睡もできないと予想していたのに、朝まで合計5時間も眠れるではないか。安心感がどっと押し寄せ、朝食後に1時間うたた寝するまでになった。

頭痛薬、睡眠薬の類は短期に使う分には有力であるが、連用すると効かなくなる。それどころか問題の原因を作り出してしまうから厄介だ。
痛み止めが痛みの原因になるのは今から15年以上も前にインターネット情報から学んでいて、以前は頭痛が襲ってくるたびに頭痛薬を飲んでいた。インターネットを検索すると、連用を止めるべしと書いてある。すぐ頭痛薬を止めて様子を見ると耐えられるし、たまにしか飲まないから一服の効果が絶大になった。

ではなぜ睡眠サプリ、睡眠処方薬の連用が睡眠を妨害するのだろうか。
われわれの脳は夜になるとメラトニンを分泌して眠りにつくと医学は説明している。しかしサプリはメラトニンを外部から供給するので、脳自身はその準備を怠るようになるのだろう。処方薬はそれを飲むと自然のメカニズムを経ないで脳は眠りに入り、脳は睡眠プロセスを手抜きする。それがおかしな睡眠パターンを作り上げてしまうのではないか。

生物の体は外部から入る異物に対しては障壁を作る。精神面でも、薬を飲む生活は、今夜も眠れないのではないか、この薬も効かないのではないかと不安を高める。

この物理的、心理的反作用の下では自然な睡眠は期待できない。神経症者はこんな簡単な事実を知るのに大変な時間がかかるのだから悲しい。
時間はかかっても気が付いたら、今日からでも薬を飲まないで寝よう。世の中にはもっと困難な病気がいくらでもあって、不眠程度でへこたれている場合ではない。



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