神経症者の脳の解剖学的違い


2007年5月10日

スペインのジャウメ大学とバルセローナ・アウトノマ大学、企業のエレサ社の協力で行われた研究によると、神経症者の脳ではある小さな領域で解剖学的違いが認められた。これにより、何故一般の人がそれほど不安を覚えない刺激に対して神経症者が過剰に不安になるのか説明できる可能性が出てきた。


この研究は最近のニューロ・イメージ誌に発表されたが、著者によると神経症者の脳では同じ刺激に対してもある種のメカニズムを通して反応するために、過度の不安を起しやすいと説明している。神経症者ではある種の刺激で過剰反応し、本人は緊張と不安状態になる。

神経症者は日常のストレスに過度に反応して、不安で生活が困難になる。この結果、彼等は慢性的な欲求不満と鬱状態になる。

スペインの研究者がf-MRIを使用して発見したのは、神経症の脳には行動抑制システムというシステムがあって、ストレスに会うとこれが著しく活性化することであった。

行動抑制システムを起す脳は扁桃体と中隔核海馬路にある。神経症者の過度の不安はこれら扁桃体と中隔核海馬路の反応を調べれば分る。

研究では63人の被験者を集め、f-MRIを使って脳の構造を調べ、不安に対する感度との関連性を調べた。その結果、神経症者では右の海馬傍回と右扁桃体、そして左前部海馬傍回で神経症でない人に比べて灰色物質が多かった。

エレサ社のビチェンテ・ベローチ氏は「今回の研究で神経症者の脳ではある部分の構造が健康な人とは異なっているが分った。不安に過度に反応するのはその為であろう。しかし何故増大した灰色物質が不安を呼び起こすかは未だ分らない」と言う。



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