新しく発見された不安遺伝子

2017年2月24日

不安症の引き金を引くのは、ストレス、経験、遺伝要素であろう。今度”分子精神医学”誌に、ジュリアス・マクシミリアン大学から研究発表があり、GLRB(グリシン受容体B)遺伝子の4つの変異体が、不安症、パニック障害の発症に関係しているのではないかと言う。今まで、この遺伝子は別の病気との関連で注目されていた。研究には、5000人の一般の人と、500人のパニック障害を発病している人が参加している。

ドイツでは大体15%の人が各種恐怖症、不安症、パニック障害で悩んでいる。パニック障害では、理由もなくパニックが起きる為、生活に及ぼす影響は甚大で、仕事の継続が困難になり、引きこもりの原因になる。

不安症の原因は何なのか。
研究から、GLRB遺伝子変異体が不安症に関連していることが分かった。「GLRB遺伝子変異体はびっくり病と言う大変珍しい病気を発症させる」とジュリアス・マクシミリアン大学病院精神科のユルゲン・デッカート氏は言う。びっくり病の患者は何時も緊張していて、簡単な刺激にも過剰反応してしまうため、倒れる事もしばしばある。不安症同様に、恐怖の対象を避けるため、生活が困難になる。

活性化した恐怖ネットワーク
発見された不安症やパニック障害を引き起こすGLRB遺伝子変異体は、びっくり病を引き起こす変異体とは違う。引き起こす症状はびっくり病に比べれば軽いが、より多く人々に分布していて、人々の脳内の不安ネットワークを強化し生活を困難にさせる。
「実験では高解像度ブレインスキャンを使い、より鮮明に不安症発症を捉えた」とデッカートは言う。新しい療法が可能かどうかは今後の研究次第であるが、強化された不安回路を薬で元に戻す可能性はある。



脳科学ニュース・インデックスへ