過食症の治療

2024年6月6日

ロンドンのキングズカレッジが自宅で出来る過食症治療の研究を発表した。研究では経頭蓋直流電気刺激法を採用し、それに心理療法を加えている。
過食症とは短時間に大量の食物を口にする病気で、年齢、性、国民、社会的背景に関わらず誰でもかかり得る。過食症になると肥満になり、気分が不安定になり、メタボリズムにも障害が発生する。

満たされない欲求
過食症治療は一般に心理療法を試みるが、治療効果は50%にとどまる。過食症の原因には脳の中の食欲をコントロールする部分が重要な役割をしている。今回の研究ではそこに経頭蓋直流電気装置で刺激を与えている。頭皮に電極を装着して弱い電気刺激を前頭前野皮質に向けて発する。同時に心理療法もした。

並行治療
この方法で目立つのは自宅で出来ることだ。研究では過食症の基準に合う人、肥満の人を82人集めて4つのグループに分けてテストした。 
  • 第1グループ 
    心理療法と経頭蓋直流電気刺激を10回受ける。
  • 第2グループ 
    同じ回数の心理療法と電気刺激を受けるが装置は偽装置である。 
  • 第3グループ 
    心理療法のみ10回。
  • 第4グループ 
    何も受けずに8週間待機。
衝動の抑制、体重減少、気分の改善
最も効果が現われたのは第1のグループであった。開始前の過食行動は1か月に20回であったが、6週間後には6回に減少していた。体重も3.5kgから4kg減少していて平均体格指数で1.28ポイントの減少であった。
これに比べ心理療法と偽の装置を付けたグループは1.5kgから2kgの体重の減少にとどまり、体格指数も0.52ポイントの減少であった。心理療法だけ受けたグループは見るべき変化はなく、何も受けなかったグループでは変化はゼロであった。
特に両方を受けたグループに目立つのは感情の安定化で、心理療法だけあるいは偽の装置を付けたグループでは感情が安定しなかった。

キングズカレッジのマイケル・フリンは「現状の治療では効果は満足でなく、多くは他の方法も試みている。今回のやり方では参加者が気分が軽くなったと述べているのが重要です。今後更に規模を大きくして試験をしたい」と言う。

キングズカレッジのウルライク・シュミットは「今まで政府も過食症治療には十分予算を付けなかった。このやり方は自宅でできるから大きな費用軽減が可能で、国民健康保険適用も考えられる」と言う。

「手続きが簡素化し治療の進展が期待できる。装置の技術的進歩で行動、食事、気分の変化を記録できるのも便利だ」とキングズカレッジのレイン・キャンベルは言う。


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