躁鬱病脳の違い

2024年6月12日

ちょっとした喜びが躁鬱病では脳に深刻な影響を与えるのがユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究で明らかにされた。
健康、躁鬱病に関係なく、その時の感情が成功体験を必要以上に膨らませてしまうのをわれわれは知っている。不安な時は反対に物事を悲観的に取ってしまい、この感情のブレが時に判断を狂わせる。

「素晴らしいレストランに行く時、期待に胸膨らませて行けば食事は最高かも知れない」とユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの共著者のリアム・メイソンは言う。

”Biological Psychiatry Global Open Science誌”に発表された研究によれば、躁鬱病の患者ではこれが過剰に反応しているらしい。過剰反応を起こすであろう脳内神経ネットワークも発見した。

躁鬱病の患者と健康な人にコンピューターでルーレットゲームをしてもらい、彼らの喜びと失望をコンピューターとfMRI脳スキャンで測定した。このやり方では被験者の報酬回路の興奮具合を秒単位で測定できる。被験者は21人の躁鬱病患者と21人の健康な人であった。

あらかじめ感情の変化を数値化出来るプログラムを作成していて、これにより勝利の喜びが通常の範囲内であるか過剰であるかを判断している。同様に負けが続いた場合も同じように測定できる。

その結果分かったのは、被験者がゲームに勝った時には脳の島皮質と呼ばれる部分が活性化していた。ここは一時的な感情に関連する部分で、健康な人、躁鬱病の人両方に現れた。
しかし躁鬱病の患者では線条体がゲームに勝っても負けても活性化していた。しかも島皮質と線条体の間には会話がなかった。

「健康なグループでは島皮質と線条体が会話している。そのためか、勝ちの喜びが暴走していない。この違いが躁鬱病で過剰の喜びが発生する原因ではないか」とユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのヘスチア・モニンカは言う。

「既存のやり方では単に気分を抑えるだけで幸せ感まで奪ってしまう。ただ喜びを抑えるのではなく、過剰な喜びを正常にする医療を考えたい」とモニンカは言う。



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