躁鬱病の脳画像 2002年8月19日 |
未だ躁鬱病を起こす原因が脳の何処の部分によるか説明出来ていないが、下の画像で示している様に脳の幾つかの部分が病気に関わっているのが次第に明らかになってきた。
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Prefrontal Cortex(前頭前野皮質)
前頭前野皮質は感情をコントロールする中枢である。同時に物事の動機を意識し、成就した時の満足感を得る場所でもある。 躁鬱病ではニューロン間をつなぐ神経細胞分枝の喪失で、灰色物質と呼ばれるものが20%−40%減っていると報告されている。 |
Ventral Striatum(腹側線条体)
脳内の報酬回路を助ける役割をする。 躁鬱病ではこの部分で30%の灰色物質喪失が認められる。又腹側線条体は過剰にも活動していて、見境の無い浪費や性行動に走らせる。 |
Amygdala(扁桃体)
脳内の感情中枢の1つである。扁桃体の作動により顔の表情、人の声から感情を読み取る。 感情刺激対象物を見ると神経伝達が活発になる。普通は繰り返し刺激に慣れが生じて、反応が鈍くなる。 躁鬱病ではある刺激に対しては慣れが生じ難く、普通限度期間を超えても反応する。 |
Hyppocampus(海馬)
脳の記憶中枢の1つである。海馬の中にある海馬台と呼ばれる層をなす部分は危険を察知したり、報酬満足感を得る場所と言われている。 躁鬱病ではこの部分の神経細胞分枝が大きく消滅していて、神経細胞間の連絡が途絶えている為に、不安に常時曝されるようになる。理由は脳が安全を確認出来無いからである。 |
Brain stem(脳幹)
脳幹にある縫線神経核と呼ばれる部分は、神経伝達物質であるセロトニンの生産基地である。ここでセロトニンは生産されて脳の各部分に送り込まれる。 躁鬱病では縫線神経核にあるセロトニン1a受容体が40%喪失していると言われている。この為に神経細胞が萎縮して鬱の原因になっている。 |
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