脳内化学物質が食事障害の一因であるかも知れない

最近の研究によるとブリミア(過食と拒食を繰返す食事障害)は脳内化学物質のバランスが生まれた時から良くないために起こるかも知れないと報告しています。

ウオルター・ケイ博士(a professor of psychiatry at the Western Psychiatric Institute in Pittsburgh)によりますとブリミアの危険性がある人を前もって発見出来るし、過食拒食のサイクルが発生する前に何らかの処置を施せる可能性を指摘しています。

現在までにブリミアを起こす人の脳はセロトニンのレベルが正常値と異なっている事が分かっている。所でセロトニンは気分と関係があり強迫行為を起こす要因と考えられているのですが、このセロトニンを制御するプロザックがブリミア及び拒食症に過去数年処方されて中には成果を上げている例もある。

生まれた時はセロトニンに問題が無かったがその後の不規則な食事で変化を生じたか、あるいは生まれる前から問題があってブリミアになる傾向があるのかは分かっていない。

ケイ博士は多分食事障害の人は不規則な食事を開始するずっと前からセロトニンのレベルに不調があるのであろうと述べている。更なる研究で将来はブリミアを起こし易い人を特定したり、良い治療法を開発できるでしょう。クレアミスコ氏によれば「既にセロトニンに関しては多くの研究が為されているので特に驚く報告ではないが良いニュースである。食事障害は複雑な病気で精神、体両方がからんでいます。生物学的な面から捕えた今回の報告はある種の希望を与えるでしょう」

アメリカでは約500万人の人が食事障害に悩んでいて女性は全人口の5%、男性は約1%の割合です。拒食症は絶食をし過度の運動をします。ブリミアでは過食をしてその後に吐くか下剤で流し出す行為をする。ミスコ氏によれば「患者は不規則な食事行為を空しくやる。生物学的なリンクが発見されれば今までの論争が一掃されるでしょう」

ケイ氏の研究グループは31人の健康な女性と30人のブリミアを患って今は健康な食事に戻って少なくても1年間回復した女性を比べました。脊髄液を比較した所ブリミアから回復したグループに正常値以上の高いセロトニンのレベルが現れた。このグループは高レベルセロトニンに伴う症状即ち気分の落ち込みとか完全僻が多く現れた。

この研究の対象の女性は皆食事は正常にしているので食事方法のみがブリミアに悩んでいる人のセロトニンレベルの異常値を作るとは説明できない。そうでは無く遺伝的特質がこのブリミアになり勝ちな人の高セロトニン値を形作っているかも知れない。

遺伝が原因か

今までの双子を比べた研究によるとブリミアと拒食症では遺伝が関係しているとしている。ケイ氏によると更にそれを裏付けるデーターがあり5年前に実施した拒食症の女性グループではセロトニン値が高く現れた。

セロトニンレベルの高い女性は何故食事障害になり易いかは、セロトニンが鬱状態、不安あるいは強迫観念を作り絶食によりセロトニンのレベルを下げる事が出来ると説明できる。セロトニンは食物中にあるアミノ酸の中のトリプトファンから作られる。

ケイ氏によれば患者の異常な食事行為は短期間安心を与える。しかしセロトニンが今度正常値より下がると不安、不調、衝動行為が湧き起こるため患者は暴食をしてセロトニンのレベルを高くしようとする。こうして彼等は決して捕まえる事が出来ない何かを追う事になる。



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