2013年6月21日 |
皆さんも経験していると思いますが、行き付けの喫茶店で読書したり、やりかけの仕事をする時、意外とはかどる時があると思う。今度その雰囲気をインターネット上に再現するサイトができたので報告します。
サイトの名前はコフィティビティー(Coffitivity)と言い、ここを訪問するとエスプレッソーを作る音、がやがや話す音が聞こえ、コーヒーの香りが漂よってくる雰囲気がある。創造力を高めるには、喫茶店の心良い音が丁度良いという最近の研究もある。 イリノイ大学では、雑音の創造思考に及ぼす影響を調べるために一連の実験をした。参加者には各種雑音を聞いてもらい、その音の強さを調節しながら、新製品開発のブレインストームをやってもらった。この研究成果は雑誌”The Journal of Consumer Research”に発表された。 それによると、70デシベルくらいの喫茶店の音や、テレビの音を聞いた時に最も創造力が高まったと報告している。それより低い50デシベルでは創造力は減退し、音が85デシベルに上がると逆に集中力がそがれた。 研究を指導した経営学助教授のラビ・メータ氏によると、静寂な環境では神経を集中させることができるが、抽象的思考を阻害してしまうと言う。 「あまり集中して考えると問題の解決が難しくなる。そんな時はしばらく間をおいて後で考えるのです。すると思わぬ解決策を思いつくでしょう。適度な雑音は人の注意を分散させる効果がある」とメータ氏は続ける。 適度な雑音は創造性を高めるが、慎重な作業が要求される文章の校正とか、税金の申告書作成では逆に能率が下がる。また、色も我々の注意に関係しているのが他の研究で指摘されている。コンピューターの画面の背景色を青にすると創造性を高め、赤にすると精密な作業に向く。天井の高い大きな部屋で作業をすると創造性は高まる。 コフィティビティーを始めた人達は、バージニア州リッチモンドで何の商売を始めようかブレインストーミングをしている時にこのアイデアがひらめいた。「喫茶店に仕事を持ち込んでやると大変能率があがることがある」とコフィティビティーの創始者であり、バージニア・コモンウェルス大学のコールウッド氏は言う。このアイデアを思いついたもう一人のジャスティン・コースラー氏も同様の経験をしたと言う。彼は上司に喫茶店で仕事を進めて良いか聞いたところ、嫌な顔をされたのでインターネット上に仮想喫茶店を作る決意をした。 彼等は録音機を片手に理想的な喫茶店を探し歩き、ハリソン・ストリート・キャフェに行き着いた。「ここの音はコーヒーマシーンの音、話し声、食事の音がほどよく混ざっていて最高です。一階、二階の両方から雰囲気が伝わってくるのも良い」とコールウッド氏は言う。 コフィティビティーは5月4日に開始したが、最初の日に120回の訪問を受けている。アクセスは大変多く、韓国のソウルからのアクセスが一番で、次がニューヨーク、そしてロンドン、ロスアンジェレス、シカゴと続く。 コールウッド等は今、国別の嗜好にあう雰囲気を提供しようとしている。「オーストラリア人はアメリカ人の発音を嫌うから、オーストラリア人の喫茶店が必要です。あるユダヤ人が、ユダヤ学習センターではヘブライ語を話すので、そんな音をアップロードしてくれないかと連絡してきた。そこで、その音を録音して送ってくれれば直ぐアップロードすると彼に返事した」とコールウッドは言う。 脳科学ニュース・インデックスへ |