金属代謝をコントロールするタンバク質が自閉症に関わっている 2001年5月10日 |
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今日発表された報告によると、子供の難病である自閉症は、体内の金属代謝に関わる蛋白質に障害が起きているらしい。 のアメリカの研究者によると、驚く事に自閉症児童の99%では血液中の銅と亜鉛のバランスが狂っている。即ちこの2つの金属をコントロールするタンパク質が正常に機能していない事を意味している。関係するメタロチオネインと呼ばれるタンパク質は、脳細胞の発育をコントロールし、又体から毒物を除去するのに必要な蛋白質でもある。このタンパク質の障害が、自閉症児に多く見られる認識障害及び消化器不良起こす原因と見られている。 イリノイ州ナッシュビルにあるパイフェル菌治療センターのビル・ウォルッシュ博士は、この発見に大きなショックを受けたと述べている。彼はこの研究の主任研究者であり、研究結果をニューオルリーンズで木曜日に開かれたアメリカ精神医療協会の年次総会で発表をした。 「もし今回の発見が事実であるなら自閉症の究明に飛躍的発展をもたらすであろうし、恐らくこれが自閉症の原因の核心であろう。今後は自閉症を起こす遺伝子の発見へと研究が進み、新しい治療法確立へとつながるのではないか」と彼は言っている。 今までの所、自閉症の原因も治療法も確立されていない。自閉症とは3歳以下の小児に多く発症して、言語の発達を遅らせ、人間関係を上手く構築出来ない。多くは消化器系の不調を伴っている。今までは麻疹、おたふく風邪、風疹ワクチン等が引き起こすのではと考えられていた。これらの原因でも一度学んだ言葉失い、人間関係を学べない障害を残す事がある。 しかし最近発表された別の研究(カリフォルニア保健局による3月の発表)によると、14年間のカリフォルニアの全ての自閉症を調べた結果、この理論とは違う結論が出たと発表している。果たしてMT蛋白と呼ばれる物質が遺伝子により異常を生じたのか、あるいは生化学的原因例えば環境因子である毒物の影響か、その辺を見極める必要がある。 いずれにせよ、医師は自閉症児に栄養補助食品を与えて、この蛋白質の生産を促し機能を正常に戻す努力をするであろう。今後のウォルッシュの研究が裏付けられた場合、自閉症早期発見の児童スクリーニングテスト、あるいは金属代謝障害の新しい治療確立へと期待されている。 脳科学ニュース・インデックスへ |