コロナウイルスのうわさ否定

2020年3月18日


コロナウイルスは実験室で作り上げたウイルスではないかとの疑いが広まっているが、そうでないと主張する報告が現れた。
この報告では、今回世界的に広まったSARS-CoV-2ウイルスは、自然淘汰により発生したと結論している。

昨年12月、武漢市の動物肉市場から発生したウイルス性の病気の感染者数は20万人以上になり、その内8,000人が死亡している。この病気を起こすウイルスであるSARS-CoV-2は、人類が経験しているコロナウイルスグループの内の7番目に位置している。

スクリプス研究所のクリスチャン・アンダーソンは「他のコロナウイルスの遺伝子と比べて、SARS-CoV-2は自然環境の中で淘汰により出来たと考えるのが妥当」と述べている。

イギリスのウェルカム・トラストのジョージー・ゴールディングは、この発表でコロナウイルス人為説は終わるだろうと言う。
The journal Nature Medicine誌に発表された論文によると、コロナウイルスの独特な突起蛋白が、感染性を高くしているという。

「コロナウイルス(SARS-CoV-2)の突起蛋白が人間の細胞のACE2に取りつく能力は、自然淘汰により獲得したのだろう。SARS-CoV-2の構造は他のウイルスに比べて違っていて、人間が人工的に作ったとは考え難い」と彼らは言う。

研究では、SARS-CoV-2が動物を通して、あるいは人間を通して自然淘汰により出来上がったとしている。コウモリとマレーセンザンコウは、SARS-CoV-2の宿主である。マレーセンザンコウは特に武漢の市場では人気商品であった。この2種から採取したコロナウイルスの突起蛋白は、研究でつかったSARS-CoV-2の突起蛋白に似ていた。もし、最初の宿主が動物だとしたら、その動物の個体群密度は高いはずだし、動物の持つACE2は人間のACE2にも近いものであろうと研究では言う。

もう一つの理論は、ウイルスは動物から人間に移って来たが、人間から人間に移る間に遺伝子を変化させたとする。この場合、一定期間ウイルスは人間の間で動いているから人間は気がつき難い。あるいは、中東呼吸器症候群コロナウイルスMERS-Coのように、動物から人間に繰り返し乗り換えて、次第に感染能力を獲得して行ったという説である。

「一度この能力を付けると、パンデミックの予防は難しい。SARS-CoV-2の注目すべき特徴である突起タンパクは、研究室で製作されたとは考え難い。他の動物に潜む同じウイルスを見ても、自然淘汰により獲得されたと結論する。コロナウイルスは意図的に作られたものではないが、それ以外の原因は今となっては説明出来ない。同時にウイルスが起こす肺炎への監視も極めて重要である」と研究者は言う。

エディンバラ大学のアンドリュー・ランボートは、どのような自然淘汰が起きたかは分からないという。



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