軽い鬱状態の女性は長生きする 2002年5月1日 |
最近の研究によると軽い鬱状態の実年女性はそうでない人より長生きするらしい。
この報告は今までの研究とは反対の結果を示している。今までは鬱が深まるに従って死亡率は高まると言われていた。 「これは我々が期待していたのとは全く反対な結果です。若い人が鬱状態の時は自殺率との関連は明らかなのですが、御年寄りでははっきりしなかった」とデューク大学精神行動科学教授のダン・ブレイザー氏は言う。多分軽い鬱は生存のメカニズムかも知れないと彼は言う。 「アメリカ老人精神医学誌5―6月号に掲載されたデューク大学の研究結果は軽い鬱と死亡率の関係を示す最初の研究結果です。今までの発表は全て激しい鬱との関係であった」とブレイザー氏は言う。 デューク大学の研究は65歳以上の2,401人の女性と1,269人の男性を対象に行われた。1986年から1997年まで3年置きに健康を調査した。20項目の質問に答える形でグループを鬱、軽い鬱、正常の3つのグループに分けた。ブレイザー氏によると10.5%の女性が軽い鬱状態と判断された。 この軽い鬱状態の女性は平均で他のグループより60%も死亡率が低い事がわかった。研究では年齢、慢性病、その他も考慮して死亡率を計算している。男性グループでは鬱と死亡率の関連性は発見出来なかった。 「面白い結果が出たと言う以外は論評を控えたい」とブレイザー氏は言う。 この結果は以前提出されたミシガン大学精神科医であるランドルフ・ネッセ氏の理論である「軽い鬱状態は問題を上手く対処するのに良い状態であり、危険な外界から身を避けさせる役割をする」と言う理論を再確認しているかも知れないとブレイザー氏は言う。 ネッセによると人は失望、失敗を上手く乗りきる為に気分の落ち込み、鬱を必要としている事になる。鬱を感じない人は出来もしない事をしようとして人生を無駄遣いしていると彼は説く。 ブレイザーの研究に加わらなかったピッツバーグ大学の精神科医であるリチャード・シュルツ氏はこの研究に少し疑問を持ち、今までの研究では軽重を問わず鬱状態は死亡率を上げると指摘している。 脳科学ニュース・インデックスへ |