脳から見た内向性と外向性の脳の働きの違い

1999年3月29日
アイオア大学の研究によると恥ずかしがりと外向的な人の違いは全て脳の機能の違いによるものらしい。脳の血流と性格の違いを研究しているチームによると内向性と外向性の違いは脳の活動の違いであるとの確証を得ている。

アイオア大学の心理学助教授であり研究チーム主任であるデボラ・L・ジョンソン博士によるとこの発表が最初の大脳辺縁系の視床と性格である外向性と内向性の関係を示したものである。「人の外向あるいは内向の性格を決めるのはその人の経験によるもので無く脳の構造によるものであるとのデーターを今回得ている」と博士は言う。

これまでの研究結果では外向と内向を決めるものは人の脳の個人差である事が分かっていた。しかしそれが具体的に脳の何処の部分であるかは分かっていなかった。アイオア大学の研究チームは18人の健康な人の脳をPETスキャン(陽電子放射断層撮影)を使用して測定した。PETを使うと脳全体の正確な画像が得られる。

このテストでは内向性の人では前頭葉と視床前部に活発な活動を発見した。この部分は我々が内部思考をする時即ち記憶を思い出そうとする時や問題解決、計画を練るときに活発になる部分である。それに対して外向的な人は帯状回の前部、側頭葉、視床の後部が活発に動いていた。この分野は感覚を処理する分野と考えられていて聞いたり見たり運転をしたりする時に活動する部分である。

物を判断したり感覚の処理をしたりする時の違いが外向と内向の違いを形作っている。内向的な人は物静かであり心の内部に焦点を合わせ引きこもる傾向がある。それに対して外向的な人は人と一緒にいて社交が好きであり刺激を求める。

「内向性の人は自分の内部に刺激を求めるのに対して外向的な人は外からそれを求めようとします。過度の内向性や外向性は一つの連続体の両側端に当たり一般の人はその中間の何処かに位置します」とジョンソン博士は言う。

「この実験の示す所は個人の性向である内向、外向の問題は善悪ではない。個人の性格の違いは脳の生物学的違いによると言う事です」とジョンソン博士は付け加える。

被験者になった10人の男性と8人の女性は最初に内向か外向かを判定するために性格テストを受けた。その後目をつぶってPETスキャン装置の下に横になり検査を受けた。

「横になって静かにしていると脳は自由な活動を開始します。ある脳の部分が活発に動くと血流量が増してPETスキャンにそれが示されます」とジョンソン氏は説明する。

この発表はAmerican Journal of Psychiatryの2月号に記載されたものです。



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