鬱病ハイリスクの脳 2010年4月6日 |
鬱病ハイリスクグループに属してはいるが未だ鬱病を発症していない少女の脳では、報酬を期待する脳と失敗を予期する脳に違った動作が見られた。この脳の動きが、鬱病発症を予想する診断基準になるかも知れないと”the Archives of General Psychiatry”誌に発表された。 今まで、鬱は脳のある部分で正常でない情報処理が行われているために起きているのではないかと考えられていた。しかしそれは鬱に先立って起きているのか、それとも鬱があるから脳が正常でない動きをしたのかはっきりしなかった。 研究では、スタンフォード大学のアイアン・ゴットリブ氏等が13人の鬱病ハイリスクグループ(母親が鬱病発症)に属する少女と、同じく13人の鬱には関係がないグループを比較して脳を調べた。被験者の年齢は10歳から14歳で、誰もまだ鬱病を経験していない。 実験では被験者にゲームをしてもらい、fMRIで彼等の脳を観察した。 このゲームでは、シグナルを見て早く反応することが求められる。反応結果により点数が加えられたり又は減らされたりして、ゲームが終わった時点で得られた点数により褒美をもらう。 その結果、ハイリスクグループの少女では、ローリスクグループに比べて脳の動きに次の違いが見られた。
以上より、報酬を期待する脳、失敗を予期する脳の動きを調べて、将来鬱病を発症するかどうか診断できる可能性が出てきた。しかしこの特有の脳の動きが時と共にどう変わるか、あるいは鬱病発症を実際予知できるか更に研究を要する。 脳科学ニュース・インデックスへ |