魚脂肪酸から作られた抗鬱剤の登場

2002年5月7日

脂肪を多く含む魚を食べると抗鬱効果があると考えられていますが、魚脂肪酸から作り出された新薬の登場で手軽に鬱病を治せるかも知れない。

「魚に含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)から作り出された抗鬱剤が2年以内に市場に現れるでしょう」とイギリスの個人企業であるラクスデイルの研究者であるデイビッド・ホロビン氏はある精神医学学会の席上で述べている。

ホロビン氏の説明によると我々の脳は殆ど脂質からできていて、その内の5分の1は我々の生体が合成する事が出来ないので体外から取り入れる必要があると言う。

今まで発表された2つの研究によると、純粋のエイコサペンタエン酸(EPA)を鬱病患者に投与した所、従来の抗鬱剤でも効果の無い患者あるいは最初だけ効果があった患者に鬱の軽減効果があったと報告されている。

「従来の抗鬱剤に比べても驚くほど効果があるので驚いている。もう直ぐ更に2つの研究結果を発表しますが、やはり同じ効果を示している」とホロビン氏は言う。

今までの研究で魚、海草を食べる習慣と鬱病の発生率が関連がある事がわかっている。だから脂肪を多く含む魚を食べる個人、国民は鬱病にかかり難い。

例えば魚を多く食べる習慣がある日本では鬱病が少なく、そうでない北ヨーロッパの国々では発生率が高い。

「アメリカ食品薬品局(FDA)はエイコサペンタエン酸(EPA)研究者に沢山の指針を出していて、局が新薬の導入に前向きであるのは間違いが無い。書類が揃えば一括承認すると思われる。更に新しく出てきた研究テーマには鬱と心臓病の関係がある。エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)は心臓血管障害の治療にも有効である可能性があるのです。純粋な形のエイコサペンタエン酸(EPA)を飲むのも鬱病治療に有効ですが、ニシン、いわしのおかずを数週間続けて食べるのも有効でしょう」とホロビン氏は言う。

エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)は肉、卵にも存在するが量は少ない。緑色野菜とくに亜麻の種がそれを含みますが、やはり魚にはかなわない。

「おばあちゃんは正しかった。魚はやはり脳に良いのです」とホロビン氏は言う。



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