習慣

2014年8月8日

我々の日常の行動は習慣で動いていると言っても差支えないであろう。習慣の特徴とは、自動的で、変更が難しく、自分が自動的に動いている事に気がつかないことだ。研究によると、人々の日常の生活行動の40%は、同じ条件下で行われる繰り返し行動と言われる。

「我々の研究では、ある動作が一定の文脈で繰り返されると、人は自動的に動作を開始するのが分かった」とウェンディ・ウッドは122回アメリカ心理学協会の会合で発表した。

人が何かの反応を見て行動を開始する時、大脳基底核を働かせる。ここは前頭葉に連絡していて作動記憶を促す場所でもある。似た条件下で行動を繰り返すと、情報は感覚と運動野に送られ、この時、行動の結果を予測する命令が消去されるために、行動は自動的になる。

ウッドによれば、我々の脳では2つの心が交錯している。一つは、我々が何かを意図的にしようとする時、この場合、自分が何をするか理解しているし、意図も変えられる。しかし、習慣では、何故今自分がそれをしているか説明できないし、繰り返して同じ行為をしてしまう。理由は、習慣が我々の意識の外側にあるからだ。

「我々の心は理想通りにいかない。だから、自分でも悪い癖と思っていても、なかなか止められない」とウッドは言う。

実験では被験者にポップコーンを食べてもらった。予想通り、誰も古い萎びたポップコーンを避けて、出来立てのポップコーンを選ぶ。しかし映画館の中で食べてもらうと、特に映画館で食べる癖のある人は、古いポップコーンも新鮮なポップコーンも関係なく食べてしまった。

「習慣があるおかげで、脳エネルギーを他に向けられ、我々の上質な生活が保証される。習慣の力は強く、意思エネルギーが枯渇すると簡単に昔の習慣に戻ってしまう」とウッドは言う。

どうしたら習慣を変えられるか
禁煙、肥満防止、高血圧防止等、日常生活改善を迫るキャンペーンが沢山あるが、果たして効果が出ているであろうか。このようなキャンペーンは、人々の意思に訴え、動機を与えてくれる。

ある調査によると、あるテレビ番組を見た後、視聴者の35%が一日5回果物か野菜を食べるほうが健康に良いと納得しているが、実際に食習慣を変えた人はわずか11%であった。番組は人の意思には訴えたが、習慣にまで影響を及ぼさなかったことを示している。

ウッドによると、効果的に習慣を変えるには3つの原則がある。先ず、過去の習慣を根こそぎ除去して、全く新しく出直しすることである。例えば、新しい町に移り住むとか、仕事を変えるとかがそれに当たる。もしこれが難しかったら、少しの違いから始めよう。

体重減らそうとする場合、癖になっている食べ物を手の届かない場所に移したり、冷凍庫の奥に入れてしまうのはどうだろう。 それと辛抱も大切だ。ある研究では、一つの習慣が完成されるまで15日から254日もかかると言う。

「手短に新しい習慣を作ることは出来ない。ある習慣を身に着けるには、ある一定の条件下で繰り返す必要がある。フロッシング(歯の隙間の掃除)を歯を磨いた後にやる癖をつければ、歯磨きが自動的にフロッシング動作を呼び込む。しかしその逆は上手く行かない。一定動作のコンビネーションが大事でしょう」とウッドは強調する。



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