2009年1月12日 |
過食症の女性にある作業をやらせfMRIスキャンで脳を調べた所、健康な女性と過食症の女性では自己規制を促す脳の活動に違いが見られたと、2009年1月号の”the Archives of General Psychiatry”誌に発表された。この特有の脳活動のパターンが過食症の衝動的行動の原因になっているのではないかと研究では言う。 コロンビア大学のラッチェル・マーシュ氏等は、この種の実験では初めて食事とは関係の無い写真を見せならが患者の脳を観察した。 実験では20名の過食症の女性と20名の健康な女性にコンピュータースクリーンに映された矢印を見てもらい、どの方向に矢印が向いているかを答えてもらった。一方研究者は作業中の女性の脳をfMRIスキャンで調べた。 矢印の先端が正しくスクリーンの端を指している時は皆簡単に方向を示せるが、矢印の先端とスクリーンの端が一致しない場合に健康な女性と過食症の女性に脳の活動に違いが見られた。健康な女性では脳の中の注意を促す部分が活動して直感的判断を避けたのに対して、過食症の女性ではこの脳部分の活動が弱く、より衝動的に判断して間違いも多かった。難しい場面で正しい答を出した時でも、過食症の女性ではこの活動が弱く、特に強い過食症の女性では活動が最も弱かった。自己規制を促す脳部分の活動の停滞が過食症の女性の過度の衝動性を物語っているのであろうと研究では言う。 専門家は過食症が始まる頃の脳を調べるために、今10代の過食症者の脳の研究をしている。また一時的に小康状態になった人達の脳や、衝動的ではあるが過食症では無い人達の脳の研究も進め、将来の治療法に結び付けたいとしている。 脳科学ニュース・インデックスへ |