意識は連続しているか

2020年9月3日

Cell Press

「意識とは映画を見ているようなもので、途切れる事がないと一般は考えるがそうではない。何かを知覚する時に遅れがあるからだ」と研究の著者でありスイス・連邦工科大学のマイケル・ハーゾッグは言う。

意識とは何か、無意識とは何か、哲学者を含め、今ままで長い間論議されて来た。

ハーゾッグは意識は連続とも不連続とも言う。意識の前に無意識による情報の処理があると考えるからだ。「情報処理は継続的にしなければならないが、知覚は連続的には出来ない」と彼は言う。

例えば自転車に乗っているとして、バランスを崩して倒れた場合、意識が不連続だと怪我は免れないが、その間を埋めるように無意識が情報を処理しているから怪我をしない。我々には見えない、無意識と言う情報処理機能があるとハーゾッグは言う。自転車を乗る時、一々バランスを意識する必要がないのは、無意識が情報を処理しているからだ。

「我々は無意識による情報処理に目をむけなければならない。意識の役割は、時々無意識がした仕事を大まかに確認するだけだ」と彼は言う。

この考えは各種分野の研究にも応用できる。

「情報処理科学に大きな変化を与えるのではないか。何故なら、外から入った情報を直ぐ意識で処理する必要がなくなるからだ。影響は神経科学ばかりでなく、心理学、引いてはコンピューターサイエンスまで及ぶ可能性がある」と ハーゾッグは言う

でもどのようにして意識を統一するか、無意識による情報処理は何処から始まるか、心の病気との関係はどうかとなると、ハーゾッグも答えられない。



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