インターネットオンライン会議
1998年4月7日
ここにおいでの方はCCI ジャーナルの編集長であるボブマクミラン氏と拒食症を語ってくれるステイシーエブラードさんと聖ジョゼフセンターの医学部長であるハリーブラント博士であります。
ステイシー: ボッブさん今晩は、今日は招待してくださってありがとうございます。
ボッブ: どれほど貴方は拒食症でしらっしゃいますか。そしてそれはどういう風に始まったのでしょうか。
ステイシー: 私は16の年から拒食症を患っています。ですからもう20年になります。私の母は私と妹を毎週日曜に体重を量りました。その時いらいこの病気が始まったと思います。
ボッブ: 拒食症はその長い間にどのように心、および体に影響を与えるか言ってもらえますか。
ステイシー: 短期の記憶喪失と鬱が強いです。それと腎不全、肝不全、3回の心臓発作と100回以上に渡る入院です。現在は運動も自転車もローラースケートもゆっくりでなければ出来ません。心臓はとても早く打ちます。その他に週に2回病院に言って水分を補給してカルシウムの点滴を受けます。
ボッブ: 16歳の時、拒食症が始まりその時は貴方はそれを否定しましたか、それともこれは問題だぞと思いましたか。
ステイシー: あの頃は誰も拒食症について訓練を受けていなかったし、私はその言葉さえも知りませんでした。
ボッブ: 何故今の貴方が悩んでいるように手におえなくなったか分かりますか。
ステイシー: 16歳の時夏季キャンプに出かけましてその時体重を減らすために食べないようにしました。何年間もの拒食症は体に重大な影響を与えました。17歳の時に強姦されそれ以来自分がごみ屑のように感じ始め、今回は手術の後、具合が悪く1ヶ月間押えが効かなくなり、真逆さまに拒食症に逆戻りしました。
ボッブ: お分かりかと思いますが、これを聞いている方には貴方のケースはまれで私には起こらない、拒食症に負けてたまるかと言うかも知れません。その場合貴方はなんと言いますか。
ステイシー: 助けが無ければ誰にでも起こります。
ボッブ: ここで質問を受けます。
患者: ステイシーさん。貴方はどれほど良くなったと感じますか。
ステイシー: 今は安定していると思います。前のように落ち込んでいません。付き合いを少し良くしようとしています。大学は自信を取り戻すのに大いに助けてくれました。この2年間は体重は減っていません。しかし体調は決して良くありません。悪いでしょう。
患者: 貴方は助けおよび援助が必要と言っていますが、どのようにしてそういう考えに至ったか、そして援助を求めてその後どういう経験をされたのですか。
ステイシー: テレビの番組で拒食症をやっていましたので、その時にこの病気は私だけでないと分かりました。私は治療センターにいきましたが私があまり言う事を聞かなかったので放り出されました。次に州立病院に送られて3週間に8キロやせた時に自分の頭が少しおかしいと分かりました。
患者: 友達や家族はどんな役割をしてくれましたか。そしてどうやって助けを求めましたか。
ステイシー: 家族は遠すぎました。心配はしてくれましたが。私には16歳の娘もしましてその成長を見たいし、孫も見たいです。友達の何人かは私が死んで行くのを見かねて離れて行きました。体重が40キロになった時誰でも私が死ぬだろうと思いました。
患者: ステイシーさん。何がきっかけでもう止めようと思うようになったのですか。私は拒食症と暴食を26年間もやっていましてもう完全に病気です。
ステイシー: 私の娘が病院に見舞いに来た時に私は彼女を自分の娘と認識できませんでした。その時についに分かる時が来たのです。娘がいるからこそ生きる意味があるのだと。その前はこのまま寝て再び起きる事が無ければ良いなと思っていました。
ボッブ: 貴方は20年間拒食症に悩んでいると言われますが何がそんなに回復を難しくしているのでしょうか。
ステイシー: 良くはなっていませんが、安定はしています。私には治療チームがいて良く助けてくれます。だけどまだ自分が体重不足と認識できません。私は良くなります。きっと何時か良くなります。
ボッブ: 貴方は家族が遠くに住んでいると言いました。家族の支えが無い状態で回復するのは難しいと思われますが、どうですか。本当に家族なしに回復したのですか。
ステイシー: 去年数回家族を訪問しました。しかし彼らが私の姿を見て私を拒否するのではないかと本当に恐ろしかったでした。ちょっと私は大丈夫と言いたかっただけです。彼らから同情は欲しくなかったです。
患者: 貴方の記憶喪失は戻らない物ですか、それとも回復可能ですか。私の先生はマグネシウムについて良く知っています。マグネシウムは記憶喪失を起こす物質で私も時々点滴で受けています。毎日マグネシウムを点滴で受けている少女を知っています。
ステイシー: 私は沢山の事が思い出せません。先生は思い出せなくても良いとおっしゃいます。前はものすごく悪かったです。そんなに悪くない時はカリウムを受けます。これで少し記憶が良くなります。大学に行って記憶回復の訓練を受けました。拒食症による栄養悪化は記憶に重大な影響を与えます。
患者: 私は19歳で7年間患っています。1年前から治りかけていますがそれでも時々吐きます。ステイシーさん、貴方は良くなっていると思いますが、実際この症状はなくなるものでしょうか。
ステイシー: 言っておきますが、治ったと言う人は症状を一時隠しているだけで時々思わぬ時にそれが現れると。
ボッブ: ここで申し上げますがバートンブラインダー博士が1月前にここにいらっしゃいまして先生は拒食症の権威ですが、統計的に拒食症は大体ある時に再発すると言ってます。貴方の治療に対する態度にもよりますが、5年以内に再発が起こり得ます。大事な事は再発を認め治療を継続して行う事です。そうすればまったくもとに戻る事を防げます。もっとも有効なのは入院加療で投薬して集中治療してその後も療法を続ける事です。
患者: 貴方の回復で何がもっとも難しかったですか。
ステイシー: 私はまだ良くなっていません。良くなりたいですが。
患者: 家族や友達に拒食症とはどんなものか説明した事ありますか。
ステイシー: 私の家族は病気を良く知っています。彼らは私の前に大きな食べ物を置いても私は食べない、しかし生きていると理解しています。大学で自分自身を紹介しまして拒食症の人がどういう生活をしているか彼らも理解したはずです。
ボッブ: 貴方の経験から何がもっとも大事だったですか。
ステイシー: 体重を減らすために食事を止めては決していけません。助けを直ぐ求めなさい。私は治ってはいませんが症状と一緒に生活する覚悟です。いつか良くなるでしょう。他人もこの病気になれば良いなど決して思ってはいけません。
患者: ステイシーさん、私は19歳の女性ですが大体何時も食べないようにしてダイエットの薬を飲んでいますが、時々普通の人と同じに食べますので私は絶対拒食症ではないと思いますが、貴方はどう思いますか。
ステイシー: 拒食症ではないと思います。貴方は食べた後嫌な気分に襲われますか。
ボッブ: ここで申し添えますが、拒食症とはただ体重が減るとか時々食べられるとかだけでなく、貴方自身が自分の体のイメージをどう思うか、自尊心はどうか、食事に対してどう思うかが重要です。だから時々普通にたべられるからと言って拒食症でないとは言い切れません。専門家がより良い判断を下します。
患者: 貴方は今までにどんな療法、治療を受けていますか、そして今は何を受けていますか。
ステイシー: 今私は療法士に週1回会います。先生に週1度会います。週に2度水分補給とカルシウム点滴を病院で受けています。私の治療チームはお互いに私の状態を把握しています。
患者: 貴方の友人や家族にあまり何時も貴方の拒食症について心配しないように言う事が出来ますか、簡単に言うとほっといてくれと。
ステイシー: そうします。新しい友達には病気の事については知らせないようにしています。良くお互いに知り合うようになってから知らせます。皆さんは私に会うのであって病気に会うのではありません。
ボッブ: 彼らは会うとどんな反応をしますか。もし彼らが驚いたり狼狽したら貴方はどう対処しますか。
ステイシー: 大体皆さんは私に何がしかの圧力をかけます。でも一度分かるともうあまり食事の事で聞いて来なくなります。私も出来るだけ考えないようにしています。
患者: ステイシーさん、私は17歳で暴食と嘔吐を繰り返して4年になりますが、専門家の助けを受けずに治る事が可能と思いますか。
ステイシー: それはまったく無理です。
ボッブ: ここで幾つかの寄せられた質問を掲載します。
患者1: 私は拒食症を10歳の時から患っていますが、分かったのは僅か4ヶ月前です。今38歳です。
患者2: ステイシーさん、健康に危険だからと脅しても一度自分に絶食を決め込んだ人間を変えるのは難しいと思います。
患者3: 大学は圧力が強くてかえって良くないと思います。
患者4: 私は4歳の娘がいますが、治りたいと思いますし、娘の為にもここに参加しています。しかし治りの過程で問題にぶつかると直ぐまたもとの状態に戻ってしまいます。
患者5: 私はこの拒食症に大変長く苦しんでいます。時々ほんとに希望が持てるのか悲観的になります。
患者6: ステイシーさん。貴方は時々もう一度元の状態に戻りたいと思う事がありませんか。私はこれはものすごく変だとは思うのですが、元に戻りたいと思うのです。
患者7: 私は食べた後ものすごく嫌な感じがするのです。丁度凄く恥ずかしい事をしてしまったように。
患者8: 私は食事カロリーの制限をして1日おきに200カロリーと決めています。すなわち1日当たり100カロリーです。今1年前の体重である40キロを目指しています。でもこれは私を駄目にしています。先日の水泳で意識を失い鼻血を出しました。どうして良いか分かりません。
患者9: 私の家族や友達は私をいつも心配しています。例えば私が歩けるか、食事に行けるか、気分はどうかと。あまり大袈裟に考え過ぎます。
患者10: どうやって彼らに知らせたら良いでしょう。彼らは物凄くびっくりしますよ。
ステイシー: 彼等も理解します。強制は出来ません。貴方が今治療中であると知らせましょう。
ボッブ: 強制は出来ません。貴方が今問題を抱えている事を先ず知らせましょう。だけど何か出来る事をしたいと言いましょう。この病気で一番大事なのは助けと支持なのです。皆さんはもし言うと家族は友人から拒否されるのではと心配しているのです。そう思うのは貴方だけでありません。家族と言う物はお互いに心配するものです。そして助けたいのです。でも直ぐ貴方が思うような反応を期待してはいけません。彼等にも事を理解するまでの時間を与えましょう。そしてもし貴方の家族があまり進んで助けるタイプでなかったら自分で治療を探せます。しかし必ず1人や2人の良い友人がいるものです。
ボッブ: ステイシーさん。今晩はここに来て貴方の苦しみを語ってくださいましてありがとうございました。
ステイシー: どういたしまして。
ボッブ: 次のゲストはメリーランド州ーバルチモアに近い拒食症を専門とする聖ジョセフセンターの医学部長であります医学博士のハリーブラント氏です。ここはアメリカでももっとも権威のある拒食症を専門とする病院であります。先生の前の仕事は首都ワシントンの国立保健衛生研究所の拒食症部門の主任であられました。ブラントさん今晩はお忙しいところありがとうございました。
ブラント博士: どういたしまして
ボッブ: 先生は今ステイシーのお話を聞いておられましたが、一体どれほど拒食症を治すのは難しいのでしょうか。
ブラント博士: 拒食症は本当に難しい病気です。ステイシーの話を聞いて分かりますように難しいです。
ボッブ: 何故そんなに難しいのでしょうか。
ブラント博士: 沢山の理由がありますが、その中でも病的行動そのものが自律的に強化しやすいのです。我々の文化が彼等をしてその方向へ向かわしめる傾向があるのです。
ボッブ: しかし先生が危険と認めながらなぜそれほど止めるのが難しいのでしょうか。
ブラント博士: それは病気の種類にもよります。拒食症においては絶食は永続的な症状です。彼等は体重を減らす事に成功するともっと減らそうとします。彼等は数キロ痩せると何か頭にきらっと閃くものがあり、更にもっと減らそうとします。
過食と飽食を繰り返すブリミアでも症状は永続的です。彼等はこの食事行動で気持ちが落ち着くと言っています。症状そのものが彼等を満足させるためそれを阻止する事が難しいのです。ですから症状が長く続けばその分症状を止める事が難しくなります。
ボッブ: それはこういう事ですか。すなわち早めに気がつき手当てをすればそれだけ治る可能性が高いし治りも確かな物になりますか。
ブラント博士: そうです。早く見つければそれだけ効果的です。しかしステイシーのような長期の患者も回復しているのを見ております。
ボッブ: 参考のためにセンターに入るのはどんな感じでしょうか。入院中の1日とはどういうものでしょうか。
ブラント博士: 先ず患者は心理学的、医学的診断をします。次に患者は各種の治療方法を用いて症状を止める為の努力を課せられます。一方において患者は症状の持つ意味を真剣に理解するように仕向けられます。殆どの患者は色々のグループに所属して個人療法を受けたり栄養のカウンセリングも受けます。多くは家族の中でも療法を受けられます。この場合は薬が利用できる場合です。
ボッブ: ここで参加者から質問を受けつけます。
患者1: 私は自分自身で1日100カロリーの食事と決めています。しかし80カロリー取れれば上出来です。1年前の40キロの体重を目指しています。私は意識を失うしプールで鼻血を出すしでとても恐ろしい。どんなに努力しても食べる事が出来ません。
ブラント博士: 貴方は直ぐ病院に行く必要があります。今進行中の状況に医学的に危険な兆候があります。
患者2: 誰でも良いから助けてください。大変困っています。食べる事が出来ません。私は医者を信用出来ません。直ぐ処方箋を書きますし私を脅かして入院させようとします。入院はしたくないです。恐ろしい助けて下さい。
ブラント博士: 貴方は医者と協力しなければ行けません。貴方は今危険な状態です。
患者3: ブラント博士、センターの外来、入院患者の平均滞在期間は3週間と聞いていますが、これを変える考えはおありですか。保険会社を説得してもっと長くいられるようにしますか。
ブラント博士: 入院期間は患者によって違います。多くの患者は入院患者で数日の滞在です。その後は部分入院プログラムと言う形で長期のケアーをします。
患者4: もし臨床的に認められる症状がなかったらどれほど援助を得るのが難しいでしょうか。私は自分が病気であるのは知っていますが、誰も助けてくれません。体重も特別少なくありません。しかし去年の11月以来30キロ痩せました。
ブラント博士: 貴方のその急激な体重減少は外見的に問題が無くても問題の兆候を示しています。貴方は全体的に見てもらう必要があります。そして適した治療が必要です。症状は人により違います。
ボッブ: 拒食症の治療に型通りの治療方法はない物ですか、それとも各人皆違うアプローチをしなければいけない物でしょうか。
ブラント博士: その症状の複雑差やその原因を考えると各々の患者がそれぞれのプランで治療を受ける必要があります。それを確認した後に尚拒食症には一定の共通の治療要素があるのを付け加えます。我々は患者に絶食、暴食、嘔吐を阻止する為の取り組みに焦点を当て、同時に心の面でも集中的にケアーをします。これが今まで我々がもっとも効果を発揮したやり方です。
ボッブ: ここで参加者からコメントを取り上げます。これはどうして家族や友達に拒食症を告げるかと言う質問に対する意見です。
患者1: 私も病状を言う時物凄く心配しました。私のもっとも大事な友達に正直に何が間違っているか何を私が必要としているか語りました。ただ誰かに聞いて貰いたかったし、一緒に泣いて貰いたかったのです。誰からも食べろと言って貰いたくなかったし、うるさく言って貰いたくなかったんです。ただ私を愛してくれる人が欲しかったのです。私は彼に拒食症の事について説明したし、私の告白が与えた衝撃に彼が対処出来るように時間を与えました。友達が貴方の側にいるようにしなさい。彼等は思う以上に強いものですよ。
患者2: 何故我々は現実に対処するより元の拒食症に戻ろうとするのでしょうか。
ブラント博士: 我々は拒食症の人達の為に援助ネットワークを作り上げるのが重要と痛切に感じています。拒食行動が現存する葛藤や困難に対してそれを和らげたり満足させたりしますので大変危険です。
ボッブ: もう一度家族に打ち明ける事に戻ります。お父さん、お母さん、夫、妻に打ち明ける時徐々にやるやり方がありますでしょうか。これが患者にとってもっとも恐ろしい事なのです。
ブラント博士: まったくその通りです。でもオープンで誠実に話す事がもっとも重要なのです。患者が家族が喧しく食事とか体重とか外見とかカロリーとかを言うのを不快に思いそんな時に心の深い部分で思う事を打ち明けるのは大事なのです。私は患者が家族や友人から大いなる心の援助を得ているのを目撃しています。
もし患者に心の大きな葛藤がある場合は客観的第三者すなわち療法士が必要です。
ボッブ: 強迫的過食症の患者に対する治療はどうでしょうか。
ブラント博士: 強迫的過食症の患者に対しても先ず精神科の医者と栄養の専門家の徹底したチェックから始まります。しばしば患者さんには同時に抑鬱と不安が見られますのでこれも調べなければいけません。彼等は個人精神療法の各種を受けます。栄養ーカウンセリングは普通の健康を維持する食事に注目し体重に対するものではありません。もし暴食が問題の一部である場合は薬も使用されます。我々はフェンフェンのようなダイエット剤の使用は反対します。しかし抗ブリミア薬品としてみとめられているSSRIであるプロザック、ゾロフト、パクシル等はしばしば用います。
患者: 再発の兆候とはどんなものですか。
ブラント博士: 再発は昔の行動形態の再現と言う形です。非社交的になる、ダイエットを始める、暴食をする、外見と体重に対する過剰なこだわりです。
患者: これは少し変な考えですが、こういう事もありますか。例えば歩いて歩いてある所まで来て自分の過去の道に入り込み回復を止める、何故なら苦しいがそれの方が安全に感じられるから。
ブラント博士: それはよく起こるのです。ある人はある所まで行くとそこから治療が難しくなるのです。彼等は回復への次のステップを踏み出すのが恐いのです。なぜなら慣れ親しんだ生き方を放棄しなければいけないからです。
患者: 私の友達に拒食症のサインを示すものがいまして、しかし私は確認できません。彼女は沢山の体に関する要望項目がありまして例えば手首、膝、体重とか沢山変えたいと思っているのです。しかしはっきりとは絶食の兆候は示していません。
ブラント博士: それは貴方が何時も彼女と一緒にいるわけでないので分からないだけです。我々の患者の中にもそういう人達がいまして、隠した結果何年間も家族や友達には病状が分かりませんでした。それより彼女が自分自身に満足していないのが重要なサインです。
ボッブ: そこで我々友人として家族として拒食症が疑われる人にどう対処したら良いでしょうか。
ブラント博士: 私はその人に対して直接にしかも誠実に話しを聞くのが一番と思います。例えばこう言ったらどうでしょうか。
「どうも最近貴方が少し違って来て大変気がかりなので、どうでしょう何処か専門の所に行って何がそんなに貴方にとって悲しいのか調べてもらいませんか」と
患者: でもそう言うと物凄くおごりますよ。どうやって聞かせるようにするのですか。
ブラント博士: 残念ながら怒る事が患者ばかりでなく、その家族、友人に起こり得ます。そんな時は療法士が第三者の客観的な意見を患者に言う事が大事と考えます。
ボッブ: それで患者が嫌がっている時どうやって療法士の所に行かせますか。患者の気持ちが変わるまで待ちますか。
ブラント博士: これは良い質問です。現実問題です。私は家族や友達に次の様に言ってもらうようにします。「貴方が問題を持っていないと思うのは良く分かります。だけど拒食症の人達は最後まで問題を感じない人達なのです。もし健康と思うならどうして専門家にそれを確認して貰わないのですか。貴方がそれをしたがらないのが問題なのです」誰かが患者と正面からその防御と否定に向き合わなければなりません。もしこれが上手く行かない時は患者の現在の病状と危険度を推し量る必要があります。
患者: もし貴方が拒食症と診断されてその後必要な体重を回復した場合、貴方はまだ拒食症ですか。
ブラント博士: 体重の増加は治癒への第一歩ですが、治癒はそれだけでは済みません。絶食に導いた考え、感覚、物の見方等を変える事がもっとも大事です。
患者: 私は拒食症の再発で困っていますが、入院治療および住込み治療が保険の関係で出来ません。何か他の集中治療はありませんか、あるいは保険会社と相談して入院できますか。
ブラント博士: 我々は毎日保険会社と話して我々の理論的根拠を説明しています。多くの場合彼等を説得してこの逼迫した治療の重要性を納得させています。
患者: ブラント博士、問題は両親なのです。彼等は大体療法士に会うのさえ恥として嫌がりますから。
ブラント博士: そうです。両親の問題、両親と子供の問題があります。ですから我々は時間をかけて両親を説得して医者に見せるようにします。その結果多くの場合成功します。
ボッブ: どうも今晩はありがとうございました。時間も過ぎております。ブラント博士もそろそろ帰って寝られる時間と思います。本当にありがとうございました。
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