2021年2月4日 |
私は過去20年に渡って不安の処理に悩んでいて、その解決方法として瞑想を開始した。最初は上手く行ったが、期待外れに終わった事が数々あり、今では時々思い出してやる程度になってしまった。今まで自分のやり方がまずかったのだろうと考えていたが、関係の情報を漁ってみると、多くの人が私と同じ経験をしているので驚いている。2019年の研究では、瞑想をする人たちの4人に一人は不安の抑制に失敗していた。 瞑想の相談に乗る この事態に注目した人にブラン大学のブリトンがいて、彼は”チーターハウス”と言う組織を作って、瞑想で上手く行かない人の相談に乗っている。 「2020年だけでも2万人以上の人から連絡がありました。如何にこの問題が深刻なのか分かるでしょう」とブリトンは言う。 心に有効なはずの瞑想が、どうしてこんな事になってしまうのだろうか。やり方に問題があるのか、瞑想その物に問題があるのか。 瞑想の言葉は誰でも知ってはいるが、具体的にどうやるかははっきりしない。最も知られているやり方として、呼吸に注目する方法と、体全体に意識を巡らす方法がある。瞑想により意識を現在に集中させると、脳には変化が起きて、脳の島皮質と言われる部分の活動が活発になる。その結果我々は意識に引きずり回される事が少なくなり、より良い判断が出来るようになるとしている。 こう書くのは簡単であるが、実際にはその逆が起きて不安が返って増加する場合がある。 間違ったボタンを押す 「瞑想をすると間違ってボタンを押してしまったかのように、感情が急に敏感になるのです。ポルトガルの研究では14%の人に起きている」とブリトンは言う。 その反対に、感覚が麻痺すると言う報告もある。瞑想は背外側前頭前野を刺激するから、大脳辺縁系や扁桃体の働きが抑制される。すると感情が麻痺して生活感覚が薄れると言う気持ちの悪い状態になる。この現象は同じくポルトガルの研究で瞑想する人の8%に現れている。 「一日30分以上8週間の瞑想訓練を受ける人に睡眠障害が起きる率が高かった。コーヒーとかリタリン、コカインを飲んだ後の覚醒状態のように、瞑想にも覚醒効果がある分けです」とチーターハウスを運営するブリトンは言う。 「毎日瞑想をやって2か月位ならまだ良いが、これを生涯やるとどのような事になるかは分かってない」とケンブリッジ大学のジュリエッタ・ガランテは言う。 ガランテの調査では、瞑想には運動をする以上の効果はない。 では、瞑想が期待外れであったならどうしたら良いだろうか。 瞑想にも色々方法がある 瞑想も色々方法がある。ある宗教ではテーブルの上にある花に注目する。あるいは詩を朗読する方法もある。この方が吐く息に注目するよりも不安解消に有効かも知れない。あるいは他人だったらどう考えるかとか、思いやり思考の瞑想もある。 「一つのやり方に拘わる人が多いがこれは間違っている。例えば運動ジムに初めて行ったとすると、ジムの担当者が貴方に、この機械を使ったらこのような怪我に注意して下さいと注意するでしょう。瞑想も同じで、やり方によっては危険な場合があるのだから、一つの瞑想に拘る必要がないのです」とブリトンは言う。 恥ずかしい話ですが、私自身は瞑想をやってあまり効果がなかったので止めている。 脳科学ニュース・インデックスへ |