手術による神経症治療 2006年7月19日
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最近の研究によると、重度の神経症患者を救う目的でされる嚢切開手術は好ましくない後遺症を伴う事が判明した。今回の発表はこの種の研究では最も大掛かりなもので、手術の長期に渡る効果を検証している。 「手術による副作用は思ったより高かった。神経症の手術による治療は現在幾つかの国で実行されて専門家も注目していましたが、我々の研究結果は今後この種の手術に注意を促す事になった」とスウェーデンのカロリンスカ研究所のクリスチャン・ラック氏は言う。 この手術は嚢切開手術(capsulotomy)と呼ばれ、脳の中央部にある神経線維を切断するものも含まれる。手術は重度の強迫行為患者や症状の強い神経症患者に対して行われ、この研究では51人の患者の術後23年間の経過が調べられた。 「嚢切開手術は患者を不安や強迫行為から救う有力な手段であり、その効果は術後長期間に及びますが、重大な副作用を伴うのも分かった」とクリスチャン・ラック氏は言う。 研究結果はカロリンスカ研究所のドクター論文に間もなく掲載される。手術後の経過は患者とその家族に直接面接するか、質問票で質問する形で調査された。同時に神経心理学テストとMRIスキャンも併用された。 結果は、今まで考えられていた以上に副作用が起きている事が判明した。手術を受けた人の3分の1以上に無力感、計画や実行力の減退が見られた。ある患者には癲癇、抑制不能、失禁等が起きるようになった。 「現在まで行われたこの種の手術には、はっきりと好ましくない後遺症があるのが確認されました。一般的な心理治療に反応しない患者の選択肢としては、不可逆的でない新しい手術をを選ぶべきでしょう」と氏は語る。 嚢切開手術は1950年代にカロリンスカ研究所で開発されて平均、年に2回の割合で行われた。2000年に行われたのが最近の手術である。 脳科学ニュース・インデックスへ |