複数の病気から成り立つ分裂病 2002年10月26日 |
アメリカで行われた研究によると、分裂病には少なくても3つの違ったタイプがある事が分かった。100人以上の患者を対象にして研究した所、分裂病と診断された患者の脳には明確な特徴と臨床症状が見られた。この研究成果により分裂病解明と、新薬の開発への期待が高まっている。
ペンシルバニア大学のブルース・ツレツスキー氏とその研究チームは116人の分裂病患者と129人の健康な人の脳を比較して、その違いと分裂病症状の関連性を調べた。 脳スキャン カリフォルニア言語学習テストを使用して分裂病と健康者の2つのグループの学習能力、記憶方法、記憶回復力を調べた。同時に脳スキャンを実施して脳の状態を構造的、化学的にも調べた。結果は分裂病グループには3つのはっきりしたタイプがあるのが判明した。 第一のグループでは側頭葉が小さかった。同時に側頭葉内での神経伝達物質も少なく、これら事実と言語や記憶能力との関連性が注目されている。このグループの人達は注意の集中、考えの構築、首尾一貫した考えを表現する上で問題が生じていた。彼等の多くが若い男性であり、分裂病が早期に発見されている。このタイプは調査した患者の5人に1人の割合であった。 第2のグループでは脳内のfrontal-striatal regionと呼ばれる部位に変化が認められた。前頭葉の灰色物質が減少し ており、空洞が肥大化していた。この部位は認識に関係しており、動作にも関わっている。だが側頭葉には異常が見ら れなかった。調査した分裂病患者の3人に1人がこのグループであった。 残りのグループは軽い記憶力障害があったが、側頭葉、前頭葉の変化は他のグループほど際立っていなかった。 異なった病気群 研究グループの次ぎの目標は、分裂病患者の脳の異変が変化する事無くそのまま人生全体に渡るのかどうかを研究する。
この報告はアメリカ心理学会の神経心理学誌に掲載されたものである。 |