小さな扁桃体がPTSDの原因

2012年11月5日

デューク大学とダーハムVA医療センターの研究発表によると、戦地から戻った兵士でPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断された人たちの脳は、恐怖や不安をコントロールする脳が際立って小さいのが分かった。

2012年の”Archives of General Psychiatry”誌第5版に発表された報告によると、トローマの激しさの如何に関わらず、扁桃体が小さい人がPTSDに罹患しているのが分かった。しかし、果たして扁桃体が小さいためにPTSD起きているのか、あるいは小さな扁桃体は心的外傷の結果なのかどうかははっきりしない。

「PTSDが発症している人の海馬が小さい事実は、20年前に既に確認されていましたが、扁桃体の大きさも関連していると言うのは今回の発表まで分かりませんでした。動物実験では扁桃体が恐怖、不安、ストレスの抑制に重要な役割をしているのがはっきりしています。しかし人間ではまだ確認されていない。扁桃体は恐怖の中枢であり、特に異常な恐怖に関係しているから、その構造は重要な意味があるわけです」とデューク大学のラジェンドラ・ムーリー氏は言う。

研究では、2001年9月11日の貿易センタービル・テロ以後にアフガニスタンやイラクに送られて、心的外傷をを受けた200人の兵士の脳を調べて、その扁桃体と海馬の体積をMRIで測定した。200人の半数はPTSDを発症し、残りの半数はPTSDを発症していない。

PTSDを発症したグループでは、左右の扁桃体と、左の海馬が際立って小さかった。この扁桃体の小ささは、鬱病、薬物中毒、心的外傷の量、PTSDの激しさから影響される分を差し引いている。
PTSDは、アフガンやイラクから戻る戦士の14%が、一般の人でも虐待、犯罪その他の精神的ショックで6.8%が罹患している。

「次の目標は、小さな扁桃体が原因でPTSDを引き起こしているのか、あるいは心的外傷の結果、扁桃体が小さくなったのかを調べることです」とムーリー氏は言う。
「扁桃体の大きさは心的外傷の激しさ、頻度、長さにより影響されないから、心的外傷が扁桃体を小さくしているとは思わない。小さな扁桃体がPTSDを起す原因になったのであろう」とムーリーは言う。
「今回の研究で大きなパズルの一部が解けた。PTSDの仕組みが次第に分かって来たのを感じる」とムーリーは言う。



脳科学ニュース・インデックスへ