躁鬱病とパニック障害は同じ遺伝子を共有している 2002年1月11日 |
科学者の努力にもかかわらずパニック障害と躁鬱病の遺伝子部分は今まで分からなかった。ジョンホプキンス大学の研究チームが発表した所によると、この2つの病気は多分別の病気ではなくて、同じであるが複雑な生物学的条件による異なった発現形態であろうと述べています。 「我々の研究ではパニック障害の遺伝形質は躁鬱病と似ており、それゆえ躁鬱病と原因が同じであろうと見ています。未だどの遺伝子が何を引き起こしているかは分からないが、この研究がこれらの病気の解明に大きく役立つ」とホプキンス大学精神医学助教授のディーン・マックキノン氏は最近号のAmerican Journal of Psychiatryの中で言う。 研究チームは、1家族の中に1人以上の躁鬱病がいる203の家系の病気の系図を調べて、この事実を突き止めた。家族の1人1人と面接調査して情緒障害を示す因子を調べて他の精神障害の有無を調査した。 「我々が分かったのはもし一人でも家族にパニック障害と躁鬱病の両方を持つ患者がいると、その近親者からパニック障害が出る確率が大変高くなります。即ちこれらの病気が遺伝子条件により左右される証明です」とマックキノン博士は言う。 遺伝子が全てを説明するわけでは無いが、世界中のどこを見ても、即ち人種文化の違いがあっても、人口の1%が患う事と家族遺伝傾向がある事から遺伝子に原因があるであろうと推測しても間違いが無い。しかし遺伝子の役割をはっきり規定するのは簡単では無い。何故ならこれらの病気には多くの個人差があり、例え同じ家族でも激しい躁状態を経験するものがいたり、軽い躁である場合もあり、パニック障害だけでもあり、又パニック障害も無い場合もある。 「遺伝子がどのように関連するかは大変難しい問題であり、環境因子、生まれ、育ち等全てが関連しています。パニック障害と躁鬱病の家族調査、躁鬱病だけの家族調査を更に続けると更なる両者の関係が分かって来るでしょう。例えばパニック障害と躁鬱病は不安、恐怖、心臓の動悸、息切れ、めまい等が違った強さで襲う同じ病気であるかも知れない。 躁鬱病にはパニック障害の気味があると言っても良いかも知れない。だから貴方が躁鬱病ならパニック障害患者でもあるわけです。あるいはパニック障害とは躁鬱病の条件下で発生しやすい症状と理解しても良いでしょう。 大変重要なのは、この変化に富む病気を遺伝子モデルで説明し、多種に渡る症状を説明出来るモデルを作ろうとしている所です。その結果として診断の改善、新しい治療が期待出来るでしょう」とマックキノン博士は言う。 脳科学ニュース・インデックスへ |