プラス思考は逆に悪くする

2009年7月3日
ブリジットジョーンズは落ち込んだ気持ちを戻すために誰でもやるプラス思考を開始した。しかし最近の研究によるとプラス思考は逆の効果があると言う。
カナダの研究者は「自分は人に好かれている」と唱えて気分が向上するのは自分に自信がある人だけで、自分に自信がない人は無理なプラスイメージを繰り返すと気分は悪くなると言う。この研究は”Psychological Science誌”に発表された。あるイギリスの心理学者も人は実際の生活感覚から自分を判断すると言う。
プラス思考の源流は150年前のサミュエル・スマイルにさかのぼる。彼が書いた”自助努力”と呼ばれる本は25万部販売されたし、今でもこの手の本はベストセラーになっている。

矛盾する考え
ウォータールー大学とニューブランズウィック大学で行われた実験では被験者に「自分は人に好かれている」と繰り返し言うように命じ、その後で気持ちがどう変化したか調べた。自分に自信のある人たちは気分が良くなったと答えたのに対して、自分に自信の無いグループの人たちは気分が悪化したと答えた。
次に研究者は被験者に自分のマイナスな点、プラスな点を挙げるように指示した。矛盾しているように見えるが結果は自分に自信が無い人達は自分のマイナス部分を考えたときにむしろ気分が落ち着いたのに対して、無理にプラス思考をめぐらすと逆に気分が悪くなった。
発表では、”現実の自分を完全に受け入れる”のような過剰で非現実的プラス思考は、自分に不安がある人には心に矛盾が生じてしまい、むしろマイナスの考えが圧倒してしまう結果になった。

実際の生活
心理学者のジョーン・ウッドは「プラス思考は自分に自信がある人には効果があってもそうでない人には逆効果です」と言う。
イギリスPsychological Societyのスポークスマンであるサイモン・デルソープは「自尊心は現実に立脚しているのです。自信をつけるように指導するのがカウンセリングであって、物事が事実より良いと自分に言い聞かせるのとは違う。自信がつくものとは、家族との良好な関係であり、幅広い友人関係、雇用、容貌なのです。家族と疎遠で友人がいなくて仕事を失って自分の容貌に自信がなければ自尊心は相当傷つく。しかし物事をその逆に出来るならあえてプラス思考を考える必要が無い」と言う



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