人見知りする傾向は遺伝的形質 2003年6月19日 |
恥ずかしがりの性格は多分遺伝的なものであり、見知らぬ人や物へ強く反応する脳の傾向であるとハーバード大学の研究チームが発表している。大人になるに従い恥ずかしがりの性格は大きく変化するが、脳の基本的特性はそのまま残されると言う。 研究チームは22歳の22人の若者グループをブレインスキャンした。若者グループは20年前に、人見知りするか、あるいは積極的に仲間に入るか気質が調査されている。 「2歳の時に人見知りするグループは、20年後の22歳でも大脳辺縁系の扁桃体が見知らぬ人や物に対して強く反応する傾向があるの」とハーバード大学の心理学研究者であるケーガン氏は言う。 脳内の化学反応の違い 「彼等は既に22歳で、怖がり屋であった者は今はそうでない。大人になり克服しているが、果たして、彼等の扁桃体の反応傾向が変化したかどうか、ここが興味湧く所である」とケーガン氏は言う。 ブレインスキャン調査結果によると、変化していないとケーガンは言う。この報告は今週の「科学誌」に発表される。 研究では13人の2歳の頃は恥ずかしがりの子供だった人とその頃、活発で積極的だった9人の人のブレインスキャンを取り調べた。 「人見知りするグループは、その傾向が遺伝的なもので無いかと推測されていたが、今までこれを証明する物が無かった」とケーガンは言う。 研究では被験者は普通の表情をした人物の顔を幾つか見る。これらの顔の表情に慣れた所で新しい顔写真を見る。そして被験者の扁桃体の反応を測定した。 結果は子供時分に恥ずかしがりであった人の扁桃体は今でも他のグループより強く反応した。 「2歳にして恥ずかしがりで物怖じしたのは、彼らの扁桃体が見知らぬ人、物に対して強く反応したと言う事だ」とケーガンは言う。この研究で恥ずかしがりの性格は遺伝的なものである事が分かったのであるが、これが大人になった時の性向を決定するとは限らないと研究者は言う。 今回の22人を使った調査から結論を出すには不十分であり、更に多くの人のデータを集める必要があるとケーガンも言う。 「恥ずかしがりやの子供でも大人になるに従い、変化する可能性は十分ある。人は恥ずかしがりを克服するし、同時に恥ずかしがりになる場合もある」とケーガンは言う。 強い恥ずかしがりは対人恐怖、鬱病の前触れである可能性もある。 今回の発見が今後の対人恐怖、鬱病治療薬開発へ発展する可能性があるとケーガンは言う。 脳科学ニュース・インデックスへ |