ハゲ、ニキビはストレスホルモンと関係が深い

2002年5月13日

 ニキビを気にし過ぎると皮膚に良くないかもしれないと言う研究報告。
今度発表されたドイツからの研究報告によると不安、鬱と重要な関係があるストレスホルモンが皮膚脂肪(セバセアス)線の活動をもコントロールしている事が分かった。コルチコトロピン分泌ホルモン(CRH)と呼ばれる物質が脂肪分泌線を刺激して多量の脂肪を分泌してニキビと脂肪皮膚を作り出していると報告している。

コルチコトロピン分泌ホルモン(CRH)受容体の数及び種類は男性ホルモンと成長ホルモンに左右される。その意味する所は男女両方に見られる頭部前部と後部の男性型禿げはコルチコトロピン分泌ホルモン(CRH)が関与している可能性を示している。だがこの関連は現在の所はっきりしていない。

この報告は明日発表されるナショナル・アカデミー・オブ・サイエンスの会報に載る予定である。

コルチコトロピン分泌ホルモン(CRH)は動物が危機に頻した時に「逃げるか戦うか」の動作を決定する主用物質です。この物質は脳で生産されて体の各部に運ばれ細胞の表面にある受容体を通して影響を与える。しかし脳以外にも例えば皮膚でもこの物質が生産されているであろうと推測されている。

ベルリン自由大学のクリストス・ゾボリス氏の指導する研究チームは培養した人間の皮膚細胞の中のコルチコトロピン分泌ホルモン(CRH)の活動を調べた。特に毛根胞の近くに存在するセバセアス腺に注目した。そこではCRHは様々な形で存在してCRHが増えると脂肪腺での脂肪分泌を活発化させた。

バトンルージュにあるルイジアナ大学ペニントン生物医学研究所の内分泌学者であるサミュエル・マッカーン氏はこの研究結果は今後再確認される必要があると言う。

しかしもし再現性が確かめられると皮膚症状を治療するのに大変便利であると氏は言う。CRHを抑制する薬で多脂肪皮膚の治療が出来るばかりで無く、ばんそうこうも必要が無くなるかもしれない。

ストレスとニキビの関連は神話でありそれは無いと言う学者もいて、例えばアメリカ皮膚学会のウェッブサイトがそう主張している。しかしニューヨーク市の皮膚科学者であるダイアン・マドフェス氏は関連ありと見ている。

「ニキビを考える時、皮膚にある脂肪腺がオンになったりオフになったりしていると見ています。ある人ではオンになる傾向が高く、あるいはそれとも脂肪腺が大きいか、より緻密に固まった脂肪腺群があると考えます」とニューヨークのべス・イスラエル医学センターの臨床教授でもあるマドフェス氏は言う。

即ち脂肪腺を刺激するCRHホルモンは脂肪腺から更に脂肪を分泌させて毛穴を封鎖しニキビを作る可能性がある。

今は皮膚症状を治す時に患者のホルモンを少し修正して治療をする。「違った薬を使う時はやり方が2通りあります。1つ目は脂肪腺を刺激するホルモンの生産を抑制する、2つ目は脂肪腺の中にあるオン、オフのシグナルを変更をする」とマドフェス氏は言う。

問題は他の不愉快な症状を抑えながら皮膚を治療する事である。例えば女性患者では男性ホルモンであるテストステロンを抑制しても問題は起きないが、男性では乳房が膨らむと言う副作用がある。勿論これは男性に好ましく無い。

クリーブランドのケイスウェスタンリザーブ大学の皮膚科のジェローム・リット氏は皮膚の立場に立って新語を作った。それはSWATでSはストレス、Wは心配、Aは不安、Tは緊張を意味します。

「ストレスが加わると我々の体はストレスに対処する為に体に一連の反応を呼び起こします。ストレスを感じる体は最も必要な臓器あるいは体の部位に血液を集中的に送ります。皮膚はその順位では下位に位置し、一番割りを食うのです」とリット氏は言う。

慢性的ストレスは皮膚細胞の代謝を遅らせ、乾燥皮膚症状を悪化させる。有害な副産物を蓄積させて男性ホルモンを多量に分泌させると脱毛と言う事が起きると氏は言う。


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