躁鬱病と自殺の危険性

2002年7月19日
成人で躁鬱病を患っている人は30代の前半そして発病してから7ー12年以内が自殺の危険性が高いとの研究が台湾の研究チームにより報告された。

躁鬱病とは激しい鬱状態と著しい高揚状態を交互に繰り返しその中間期には健康な状態もある心の病気でリチウムで現在は治療されている。

研究の結果、患者の25−60%が人生のある時点で自殺を試みていた。台北医科大学のシャン・イン・ツァイ氏の研究チームは患者の自殺の危険度とどの時点で危険であるかを調査した。

研究チームは台湾で神経症、鬱病その他の感情障害で入院した2,133名の患者の内、躁鬱病と診断されその後16年以内に自殺をした患者41名と同じ躁鬱病患者で年齢、性別、入院した時期が同じだが自殺をしなかった41名のグループを比較分析をした。

この研究結果は6月発行されたJournal of Clinical Psychiatry誌に掲載されている。

自殺した人のグループでは第1親等の家族に自殺していた例が多かった。更に過去7年の間に1度以上の自殺未遂をしている場合が多い事も判明した。

自殺の時期に付いては患者が35歳以前であり、発病から7ー12年経ち、病院に入院2年後が一番危険な時期であるのが判明した。西洋社会でも同じ調査がされたが患者の多くがアルコール依存症であったり麻薬中毒である為にはっきりしなかった。麻薬やアルコールの中毒は自殺ファクターになり得ると著者は言っている。

例えば西洋社会の躁鬱病患者の30%がアルコールや麻薬の中毒であるのに対して自殺した人の15%がやはりアルコール、麻薬の中毒であった。「西洋社会では躁鬱病患者の大半が一人暮らしをするのに対して中国人は家族と共に生活する。家族と生活する方が薬物依存に成り難いだろうし、一人暮らしはなりやすい」とツァイ研究チームは言う。

「医療に従事する人達はこの研究結果を踏まえて自殺を出来るだけ未然に防ぐべきである。もう1つの自殺予防は是非この病気を治す事である」と研究者は言っている。



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