才能、努力あるいは幸運か

2017年9月22日

マイクロソフトの創始者であるビルゲーツは、我々が考える以上に幸運な人である。もちろん、彼の類まれな才能も認めるが、それ以上に幸運な時と場所に恵まれていたのを見逃す分けにはいかない。

大成功の陰にはそれを生み出す時世と言うのものがある。成功者の多くはこの時と場所に恵まれた大変幸運な人達でもあったのだ。彼らの努力は通常の人間では想像もつかない環境でされていて、ゲーツもそうであった。

ゲーツは上流階級で生まれ、私学で学び、ハーバードに進んだ。当時コンピューターをやる人は10,000人に一人と言う時代に、コンピューター・プログラミングを学習している。また彼の母親がIBM社長と親しい関係にあり、当時コンピューターでは世界一であったIBMから注文をもらう事が出来たのが大きい。
一般に人は一つのソフトに習熟すると他社の類似のソフトを嫌う傾向がある。即ち、IBMのコンピューターを使う人達は自動的にマイクロソフトのプログラムを習い、マイクロソフトのマーケット独占への道を開いた。ゲーツは幸運とその人並み外れた才能と努力で、成功が成功を生む街道を進み、コンピューターの世界を制した。

魔法の数字
普通、大成功を勝ち取るには10年とか1万時間の努力が必要と人は言う。実際ゲーツも10代でこれを実践しているが、成功者を詳しく調べた研究によると、単に10年、1万時間の努力をしても、必ずしも、成功に結び付かない例を沢山発見している。
例えば、イギリスのある町の一区画から、偶然3人のイギリス卓球チャンピオンを出している。原因は、たまたま有名な卓球コーチのピーター・チャーターズが、この郊外に住むことになったからだ。チャーターズに触発された近所の子供たちは、卓球の練習を開始し、その中の3人は見事卓球チャンピオンにまで昇りつめた。

もちろん努力と才能は必要ではあるが、洗練されたコーチが身近にいて、家族の十分な応援があったからこそ可能になったのであって、幾ら才能があっても有能なコーチに巡り合わず、運動選手を喜ばない社会であったらとても無理であっただろう。類まれな成功になればなるほど、そこから応用できる何かを引き出すのは難しい。

努力をすれば必ず実るとか、チャンスは努力をする人間に訪れるとか言うが、並外れた成功をするには、その時代にその最善の場所にいなければならないのだ。
一方、成功者から真似るべき点もある。ゲーツやバフエットは、その蓄えた巨万の富を惜しげもなく寄付に回している。バフェットなどは、高所得者はもっと税金を払えとまで言っている。彼らは成功に感謝し、富を我が物にせず社会へ還元する努力を忘れない。



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