鬱病は右脳皮質の薄化が原因か 2009年3月24日
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鬱病を発症している家族を詳しく調べた研究で、家族の脳には構造的違いがあるのが発見された。特に脳の一番外側部分である右脳皮質が目だって薄くなっていた。皮質の薄化は鬱病を発症するサインであるかも知れないと研究は言う。
脳の薄化は鬱病を発症した両親の子、あるいは孫の脳に発見された。鬱状態、不安症を経験したかどうかに関わらず子孫にこの現象が認められた。 「鬱病患者の2世代後に子供大人に関わらず、あるいは鬱病発症の如何に関わらず、脳の変化が見られるのが衝撃的なのです」と論文の著者でありコロンビア医科大学の精神科医であるブラッドリー・ピーターソン氏が言う。 「脳の変化は遺伝子が原因で起きたか、あるいは育った環境によるものかは分からない」とピーターソン氏は言う。 ”National Academy of Sciences”の会報に発表される予定のこの研究は、27年前にミルナ・ワイスマン氏により開始された家族と鬱病の研究の成果でもある。 研究では131人の脳を脳スキャンで調べた。被験者は6歳から54歳までの人達で、その半数が鬱病ハイリスクグループに属し家族に鬱病患者がいる。残りの半分はローリスクグループで家族には患者がいない。その結果、ハイリスクグループでは、右の脳皮質が広範囲に渡って平均28%も薄く変化していた。 脳皮質は理性、計画、気分に関わる重要な部分だから、この部分が薄くなると注意の集中が難しくなり、社会的、感情的刺激を適切に処理できなくなる。 「脳がこれだけ薄くなると感情処理が上手く行かないでしょう。不安や鬱状態を起こしやすくなり、感情世界で孤立するのです」とピーターソン氏は言う。 「右半球の薄化は直接鬱病発症の引き金にはなっていないが、左半球で同じ薄化が起きると危険になる。単なる危険性から実際の発症につながる」と氏は言う。 エモリー大学の精神科医であるヘレン・メイバーグ氏は「この規模での研究は大変なインパクトがある。我々が脳の謎を解く上で重要な手がかりを与えてくれた。薄化は病気を起こす危険性だけか、あるいは実際引き金になっているのかは重要な問題であり、今後の研究が待たれる」と言う。 脳科学ニュース・インデックスへ |