神経症と胃潰瘍の関係


2002年12月30日
ピロリ菌が発見される前は胃潰瘍の発生はストレスを始めとする精神要因が原因と考えられていた。今回の発表によると脳即ち心がかなり重要な役割をしているのが確認された。しかし具体的には心がどのように関わっているか未だ分からない。研究結果によると神経症者はそうでない人に比べて胃潰瘍にかかる確立が2倍以上であるのが分かった。

研究責任者であるニューヨーク市にあるコロンビア大学の疫学部助教授のレニー・グードウィン氏は神経症者が胃潰瘍になりやすい幾つかの理由が考えられるとロイター記者に語っている。

「原因として個人の特性、環境因子、遺伝子的要素が神経症及び胃潰瘍の発生に関連しているかも知れない。慢性的不安が胃潰瘍を引き起こしているとも考えられるし、反対に胃潰瘍がストレスになって神経症を引き起こしている可能性もある。多くの人がピロリ菌に感染しているにも関わらず一部の人しか胃潰瘍にならない。これが胃潰瘍発生には第3の要因が働いていると推測出来る理由である」と氏は語る。

胃潰瘍とは胃の表面の炎症で胃酸が表面の皮膚を貫通して内部に入りこむ時に起きる。痛みと出血を起こし場合によっては手術が必要になる。ピロリ菌感染以外にも非ステロイド系の抗炎症薬であるアスピリンとかイブプロフェンにより引き起こされる事もある。

この研究は心身医学誌の最近号に発表されたもので、全米から8,000以上の人を選んで専門のインタビュアーにより面接調査された。この中で被質問者は精神的症状を持つか肉体的症状を持つか慎重に質問された。

参加者はピロリ菌に感染しているかどうかは検査されなかった。



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