人が退屈な作業をする時に、脳はどんな脳波を出すだろうか。
今週の”the Proceedings of the National Academy of Sciences”誌に発表された研究では、退屈な作業をする時、人の心は自由空間を彷徨することが分かった。
これは注意が手前の作業から離れて自由に動き回る事を意味している。 心が自由思考に入ると、前頭前野皮質からアルファ波( 一秒に9~14回振れるゆっくりした脳波)が発生して、P3と呼ばれる弱い脳波が頭頂皮質から検出された。
「心が自由連想している時、脳がどの様な脳波を出しているか捉えることが出来た。人間の思考の基本が分かり、心の病気の対処にも役立つであろう」と研究をしたカリフォルニア大学のロバート・ナイトは言う。
「もし我々が一つの事ばかり考えていたら他を忘れる。他の思考の中に重大なものが含まれているから心の彷徨は重要なのだろう」と バ ージニア大学のザッカリー・アービングが言う。彼は心の彷徨の心理学的、哲学的基盤と題して研究している。
「赤ん坊と小さな子供では、心は常に彷徨しているように見える。一体心の彷徨とはどういうものだろうか。今回の研究では、それは決して気まぐれではなく、生産的意味を持つと分かった」とカリフォルニア大学のアリソン・ゴプニクは言う。
研究では39人の被験者に4つの考え方を学習してもらった。目的を持った考え方、自由で制約なしの考え方、意図的に思考を固定するやりかた、心のむくままに固定するやり方と。
被験者の頭には脳波を測定する電極が装着されている。そしてコンピューターの前に座ってコンピューターに現れる、左あるいは右の矢印を見て、左あるいは右のボタンを押す。コンピューターに現れる矢印に規則性はない。
この作業の後に、被験者は4つの思考パターンのどれを採用していたか、1から7で分けるとどの程度であったかを聞かれる。
作業中、自由思考をしていたある女性は、前回の学校の試験の出来を考え、次に夕食の準備を忘れたことを思い出し、もっと運動をした方がよいのではと考え始め、以前の夏休みの思い出に耽っていた。
被験者の頭には脳波計の電極が装着されていて、実験の後、思考のパターンと脳波の関連が調べられる。
その結果分かったのは、被験者が自由思考に入ると、被験者の前頭前野皮質からはアルファ波がより多く発生していた。一方P3脳波は減少していた。 これは創造的思考に入っているのを示している。
「脳波から脳の思考の様子が分かるようになった。この技術は健康な人ばかりでなく、心の病気に悩む人にも応用できるのではないか」とカムは言う。
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