神経症者は不安を好む

2019年9月30日

ペンシルバニア大学のミシェッレ・ニューマンの研究によると、不安症の人はリラックス訓練をしても不安は緩和しないのが分かった。

「不安症の患者は不安が襲って来ると不安になり切って不安を通過しようとするが、それが良くない。何もしないほうがよく、そのままにしておけば不安は間もなく通過するのです。これを繰り返し体験すると、身構える必要がないのが分かる。心と時間は一体になって流れます」と彼女は言う。

大学院生のハンジョー・キムも、何故リラックス訓練が不安症の患者に上手く行かないのか分かったと言う。

ニューマンは、1980年代から、リラックス訓練が不安症の患者に有効でないのを感じていたが、その原因は分からなかった。2011年に彼女は対比予防理論(Contrast avoidance theory)と言う考えを打ち出して、この中で彼女は次のように説明する。

「不安症の患者は、不安が襲って来ると意図的に不安になろうとする。そうする事により、本物の不安を緩和できると考えるからであろう。でも実際は逆で、不安は更に威力を増してしまう」と彼女は言う。

研究では96人の大学生に参加してもらった。内訳は32人が全般不安症の患者で、34人が鬱状態の患者で、30人が健康な人である。実験ではリラックス訓練を受けた後に不安を想起させるビデオを見る。その後、質問票が配られ、感情の変化を答える。

次にもう一度リラックス訓練をして質問票に答える。理由は二度目のリラックス訓練が、心にどのような影響を与えるか調べるためである。その結果、人によりリラックス訓練に効果がある場合と、ない場合があるのが分かった。

全般不安症の人では、感情の振幅が激しく、ビデオを見て直ぐ不安になり、リラックス訓練をするとむしろ不安は増した。同じ傾向は鬱状態の人にも観察されたが不安症の人ほどではなかった。

キムは、精神科の医師にもこの実験結果を知ってもらいたいと言う。また、パニック障害や軽い鬱状態の人も同じことが言えるかどうか調べたいと述べる。



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