不眠について

神経症者と面接していて気が付いたのは不眠を訴える人が多い事です。私も高校3年生の時に頑固な不眠に苦しんだ。前の年に結核を患い病院に1年2か月入院したのが原因で、退院してからも結核の再発恐怖に苛まれた。再発を予防するには十分な睡眠を取って体の健康を保つのが一番と考え、上質な睡眠を求めたところ、十分な睡眠どころか睡眠に入る瞬間に起きてしまうと言う深刻な現象が起きてしまったのです。

幸いな事に大学に入り進学勉強から解放されて学友と飲み歩く機会が多くなると、睡眠を考える暇がなくなり、そしたら、毎晩熟睡している自分に気が付いた。以来50年間、十分眠るには眠りを期待する生活を放棄するのが一番と体得して問題は解消されている。

しかし年齢を重ねるに従い、夜中に頻繁にトイレで起きるようになった。若い時と違って朝まで膀胱が持たず、3回から5回起きる。最初のうちは十分睡眠を確保できたが、年齢が進むとそれもままならなくなった。
この問題を解決するためもあり、私はメラトニンと言うサプリメントを長年飲んでいましたが、そのサプリメントが睡眠を妨害するようになったのには驚いた。最初の内は効果があったのに途中から逆に睡眠を妨害して夜中に覚醒する。ある日、内科の先生に相談して睡眠薬を出してもらうと、それが良く効いて、朝まで熟睡してしかも眠気が残らない。こんな便利なものはないと喜んだのですが、私は薬に頼る自分を許せなかった。

相変わらず睡眠問題は続いていたある日、このまま薬を飲んだり飲まなかったりでは恐らく問題は解決しないだろうから、サプリメントとか処方薬を一気に完全に止めようと決意して実行した。そしたら薬なしでも朝まで眠れるではないか。しかも次第に入眠困難が解消されるようになったのです。最近は睡眠補助薬なしで十分眠れるし、時々眠りが足りないときは朝食後にうたた寝して不足を解消している。

以上から私の長年の睡眠問題の解決を要約すると。
  • 不眠を起こす最大の原因は強い不安と判明した。不安のレベルが高い内はどうしても睡眠は困難になる。だから問題解決には不安のレベルを下げなければならないが、それには、神経症をどう解決するかの強迫的思考を停止することが第一条件になります。

  • 良い睡眠は体の自然なサイクルに任すのが一番であることを学んだ。サプリメントや薬に頼るのは、一時の凌ぎにはなっても解決にはならない。薬は最初に効果があっても次第に睡眠を妨害するようになり、やがては頑固な不眠に発展します。
    もう一つ気を付けるべきは、老人の不眠問題は老化の一プロセスであって、避けて通れない問題であると理解すること。多少不便であっても極端な不眠以外は許容して生きる心の余裕を持ちたい。
神経症を治すのも不眠を治すのも、覚悟が必要なのです。



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