自分の脳が敵であること

無為療法を20年以上もやってまして、その間に何時も感じたのは、神経症者が斎藤を敵と勘違いして闘争を開始する事です。とんでもない間違いで貴方の人生を生涯苦しめるのは、自分の脳なのです。日夜恐怖、不安を生産している貴方の脳が敵なのです。

一方、神経症者にも言い分があるのだろう。神経症者が感じる不安とは自分の生存を脅かし、生命さえも危うくする不安で、これに耐えられる人はいない。そのため、ほとんどの人は不安解消の努力を開始し、それをやめよと命令する斎藤を敵と見る。俺たちをこのまま不安のままでいろと言うのかと言うわけです。

でもそこで冷静になってもらいたい。神経症になって誰が全治根治を望まない人がいるだろうか。日本には神経症が人口の1%いると言われている。即ち100万人もいるわけで、森田が療法開始してから100年も経ちその間に治った人はいるだろうか。森田療法が有名な割には見たことがないだろう。これが事実なのです。即ち、完治根治を目指している限り誰も治らない。

何故、完治根治の努力をすると治らないのか。それには神経症脳という異常な脳を考えなければならない。この脳は不安と言うシグナルを出し続けていて、それを抑えようとすると倍返しで襲い掛かってくる性質があるのです。
不潔恐怖の人の手洗いを想像してください。彼らはばい菌が手に付着していると思い込み、頻繁に手を洗う。しかし今まで手を洗って問題を解決した人見たことありますか。手を洗う、即ち不安解消の努力をした結果逆に不安は増し、更に手を洗う行為を繰り返しているのです。

神経症も同じで、森田の言葉を聞いて不安は軽減したとしても、それは次の不安の発生原因になっている。症状がきつくなるから方策を練り、方策を練るから更に強い症状が生まれると言う、恐怖の自転車操業で、このままでは生活が崩壊してしまう。

斎藤は今、犬が自分のしっぽを噛もうとしてぐるぐる回りになっている神経症者の行動を停止せよと迫っているのです。それに対して貴方は斎藤の主張が許せないと来る。

ここは神経症と言う非常に治療の難しい精神病を理解しないとならない。この病気を治すには通常の常識が通じないのです。しかも貴方の前に斎藤と言う元神経症の患者が好結果を出しているではないか。斎藤の意見を聞かない手はないと思うのだがどうだろうか。



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