心の自己免疫疾患


時々、私は神経症を心の自己免疫疾患と呼んだらどうかと考える時があります。
神経症とは不安、恐怖が暴走する病気でありますが、それが度を越えていて、もはや危険を警告する役割を止めて、自己免疫疾患のようにわれわれの心を攻撃して破壊してしまうからです。

過去の精神医療では神経症の不安を特別な不安と捉えず、当然あるべき不安として共に生きろと指導してきた。
これが上手く行かなかったのは過去100年の実績を見れば分かる。今まで治ったと言う人は現れてないし、大半の神経症者は苦しみのまま放置されていた。理由は脳の科学が存在しなかった事も一つですが、独自に神経症を突破した人が現れなかったのがもう一つの理由です。

幸いにも今は脳科学が始まり、フロイトのような偉そうに全部説明する人が消えたことがありがたい。そして何よりもインターネットの登場で神経症を独自に解決した人が生の声を発して来るようになったのが大きい。

それでは今、この病的な不安を防ぐにはどうしたらよいだろうか。先ずは、神経症不安の心理的説明は不安解決には役立たないと確認することです。
人が病気になると誰でも不安になりますが、医療処置で治ると説明されると大抵不安が収まります。しかし、神経症では不安は解決しないばかりか、さらに悪化して不安は暴走してしまう。

そこでどうするか。治す方法は「直ちに動け」なのです。

神経症では肝心の脳が故障していて正常に作動していない。だから、第二の脳に登場してもらうしかない。第二の脳とは筋肉で、筋肉は動く事により脳を補完することが分かった。突拍子もない事に思えますが、実際動いてみると強迫観念が減衰しているのを感じるでしょう。
では動きの中でも神経症を解決する上で最も重要な動きは何だろうか。生活に伴う動きなのです。

健康な人と神経症者の最大の違いは、生活に伴う動きがあるかないか、活発に動いているかほとんど動かないかだと思う。健康な人たちは、羨ましいほど自然に動いています。これに対して神経症者ではじっと考え込んでいる。われわれの日常の動きを指令するのは無意識ですから、これが死んでいる神経症では動けない。当然一日中考えまくり、神経症が治るわけがない。

動きの最大の効果は強迫観念の減衰です。試しに動きを停止して強迫観念を裸で受けたらよい。強迫観念に圧倒されて吹き飛んでしまうでしょう。動いていると不思議に持ちこたえ、気が付いたら正常な生活に戻っている経験をします。

次に気付く変化は身辺が整理されて生活にリズムが出てくることです。神経症の最大の問題は、心が強迫観念に釘付けになってしまうため、生活が停止してしまうことです。生活が止まっている状態では健康への復帰は難しい。

以上、神経症の治療とは、強迫観念の鎮静化と生活リズムの回復の二つです。この過程は決して簡単ではないですが、完治根治を求めず、確実な一歩を踏み出すのが神経症脱出の基本です。



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