治りは一瞬であること


神経症者の多くは、いつかは治るだろうと考えて努力をしていると思う。しかし、いつかは治ると考えていると、神経症は一生続く。こんな無慈悲な言葉はないだろうと思うでしょうが、事実なのです。

今まで森田療法開始以来、数百万人の神経症者が完治根治を求めて努力をして来ましたが、皆さん治った人を見たことがあるでしょうか。私が過去25年間インターネット上で見ている限りでは、治った人を見たことがない。

何故、完治根治を説く森田療法では一人も成功した人がいないのか。それは患者に治す努力を鼓舞しているからです。神経症は治そう病ですから、こうすれば治ると説けば必死になって彼らは努力をする。その結果が現在見える光景なのです。

神経症は治す努力を重ねるから治るのではなくて、治す努力を停止した時に瞬時に現れる。この点、森田療法の宇佐先生は本質を見抜いた人であった。彼は著書「あるがままの世界」で、繰り返し全治は今すぐと書いてある。私はあの当時、まだ自分は神経症が治ってなかったが、この言葉に何か真実を感じたのです。
16歳の年から48歳まで30年以上も森田療法の本を読んでこの状態だ。何処かに間違いがあると長い事思っていたその時に、”今すぐ全治”を説く宇佐先生に猛烈に新鮮さを感じ、直ぐ本を購入した。その結果はこの通りで、斎藤は別の人間に生まれ変わったのです。

では何故神経症は一瞬の内に治るのか。
神経症とは脳の病気であり、脳はコンピューターであります。必然的に他の内臓器官とは病気の成り立ちが違う。神経症の故障は多分ソフトが原因で起きているのだろう。ソフトとはプログラミングの問題であり、プログラムを修正すれば一瞬にしてコンピューターは正常に戻る。過去、みずほ銀行の送金申し込みが数100万件も滞った事がありましたが、プログラムを治したら一晩で元に戻ったのが良い例で、同じことが神経症にも起こるのです。

では神経症のソフトの故障とは何でしょう。
神経症とは治そう病なのです。治そう治そうが止まらなくなって、その結果、架空の恐怖が入道雲のように成長してしまった病気なのです。
雷雲を発生させる入道雲のエネルギーは、下部から流入する熱せられた上昇気流だ。この上昇気流の流入が止まれば、エネルギーは最早得られないから入道雲は早晩消えて行く。
神経症入道雲も同じで、そのエネルギー源を遮断すれば神経症雷雲は間もなく消えて行く。神経症のエネルギー源とは治そうの努力でして、神経症者ではこれを永遠に続ける。30年、50年の努力はざらで、多くの神経症者は死ぬまで同じ努力を繰り返す。

神経症を治したかったら、今すぐ治そうの努力を完全停止するのです。しかしこれは言うが易しく実行は難しい。その理由は、治す努力を停止しようとすると、強迫観念が立ちはだかってそれを阻止するからです。強迫観念の力は想像を絶し、多くの神経症者は敗退する。

でも日本人の99%は神経症を治す努力をしないで生きているのだから、出来ない理由はない。少なくても斎藤は出来たし、やらなければ人生を棒に振ってしまう。



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