止まらない雑音の問題


どうも人間の脳はノイズを発生しやすく、一度発生すると止まらなくなる傾向があるらしい。神経症も不安ノイズに悩まされていて、煩さは火災報知器の警告音に匹敵する。鳴りっぱなしになっているからたまったものではなく、神経症者の生活を崩壊させてしまう。

普通火災報知器の誤報ではスイッチを切って何とかその場をしのぐが神経症では出来ない。苦しくなった患者は神経症関連のホームページに行って慰めの説明を読んだり、認知行動療法の不安を克服する努力をしても全く効果がない。

私は20年以上神経症を専門に神経症者にアドバイスをしていますが、最近気が付くのは、脳のノイズの問題は神経症ばかりでなく広く心の病気全般で発生しているようなのだ。即ち人間の心の病気の核心は警告ノイズの出っ放しと言うことになる。

最近、世界的に肥満問題に注目が集まっている。特にアメリカでは深刻で、体重抑制記事は毎日のようにあって、その中でも最近注目されているのがオゼンピックと言う糖尿病薬です。

有効成分はセマグルチドと言う物質で、GLP-1と言うホルモン受容体を活性化すると言う。この受容体は脳内の動機と報酬に関連する場所にあるから食欲抑制に働くのだろう。薬を飲んだ患者では突然脳に鳴り響く食事雑音が消えたと言う。

肥満に悩む人たちでは単に空腹に悩まされるばかりでなく、食事に関する妄想が酷いらしい。人は自分が食べている姿を見てどう感じているかのような邪推だ。この手の食事関連の妄想が絶え間なくあったら当然生活は困難になってしまう。

その脳の空腹ノイズがオゼンピックを飲んだらきれいに消えたと言うからすごい。ノイズ問題は神経症に似てないだろうか。
神経症でも治療意欲ノイズが凄まじい。一旦神経症的不安が発生すると患者の治療ノイズは止まらなくなる。30年、50年はざらで、大半の神経症者は生涯治療を求める。

では神経症でもオゼンピックのような薬がないか。恐らく当分無理だろうから自分でやるしかない。私はたまたま宇佐先生の本がオゼンピックの代わりになって今から30年前にノイズがピタリと止まった。

大方の人はこうは行かない。彼らは苦し紛れに治療意欲を合理化しようとする。やれ向上心の達成だ、やるべきことをやると言う。認知行動療法のような不安を分析したところで意味ないし、訓練による克服なんて無理な話だ。

治療意欲ノイズを消すにはどうしたらよいか。
色々尤もらしい理由付けするのを止めて直ちに停止するのです。単に停止が正しく、それを繰り返すだけです。



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