動き回るは最悪

以前厳格な森田療法を指導する病院がありましたが、そこを出た人で今インターネット上で指導している人はゼロであるのを知っていますか。神経症者に取っては森田療法とは幻の療法であり、半分疑いながらも今もその可能性を信じている人が多いでしょう。

残念ながら森田療法を経験した人のほとんどが治しに失敗して、今はどん底に沈んでいます。その理由は、動けば神経症が治ると間違った指導をしたからです。動きは無意識に属するもので、意識で操作しようとしてはならない。自然に反する操作をするものだから脳がぎくしゃくし始めて、患者の残りの人生を大変困難なものにしてしまった。

神経症者は動きに飛びついてはならない。
動くとは動物の本能であり、動物である貴方も考える必要なく動ける。子供の時分を振り返ればよい。誰も動くことを学ばなかったでしょう。子供であることが動く事であり、じっとしていられなかったはずです。
森田は活発に動け、工夫をしろ、気配りをしろ、タイミング良く動けと口うるさく指導した。このような動きは不自然な動きで脳に混乱を起こし、結果として神経症を強化してしまった。

一般の人でそのような動きをする人は誰もいない。それで社会は問題なく機能している所を見ると、森田的動きは人間の本質を否定する危険な動きだったのです。
われわれは、何かしたいと思うだけで自然に動くように出来ているのです。今健康世界に生きている私は、森田的動きなど考えたこともない。工夫は自然に出てくるものであり他人に指導されるものではなかった。

森田では患者が朝から晩まで走り回るのもおかしい。あの不自然な動作は明らかに強迫観念から逃れるための動作であった。強迫観念は逃れようとすると、背後から襲い掛かって来る性質がある。

神経症とは残念ながら脳の構造上の問題から来る異常反応であり、この異常反応を鎮める唯一の方法は何もしないことなのです。何もしないことにより興奮した神経症脳を鎮静化させることが出来る。しかしこれが物凄く難しい。薬物依存症の人が薬物を止めるくらいに難しいかも知れない。でも実行しないとならない。

別世界
斎藤は今、治療行為を停止して別世界にいます。この世界は気持ちが良く、不安は克服するものではないと悟ります。不安を忘れた心境、あるいは神経症を忘れた心境と表現するのが近いかも知れない。完治根治ではないが、神経症の時に比べて断然素晴らしい。
こんな時、100万人の神経症者が斎藤を非難しても、健康こそが全てであり何処吹く風です。



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