無為療法 禅の講義


「道元」松原泰道著から
道元
自分の心をもて計ることなかれ、ことばをもていうことなかれ。ただわが身をも心をも放ちわすれて、仏の家になげいれて、仏の方より行われて、これに従ひもてゆくとき、ちからをもいれず、こころも費やさずして、生死をはなれ仏となる。たれの人か、こころに滞るべき。

松原
要は「小さな自分を忘れ、自分を捨てて仏の家(仏心)に帰るなら、仏の方から導いて下さるから、このお導きに従ってゆくとき、自分の身や心を働かせなくても生死を離れて仏となる。このことがわかれば、自分の小さな心に執着する者があろうか」というのです。
われわれは神経症世界を離れ健康世界に入ったとき、自由になったと意識できない。意識できなければ喜びもない。何が違うかと言えば、時間の進みが速かったと思うし、疲れが少なく、一日が楽しかったと感じる。神経症の治りとはそんなものであり、格別に人に自慢するほどのものではない。

もしこの時に1億円を拾ったように喜んだら、それは妄想であり、神経症はまだまだ続く。治りとは、何か温かみを感じるもので常に変化する。治療追求を止めて雑用に体をゆだねた時に得られるものなのです。



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